「夜、布団に入ってもなかなか寝付けない」「夜中に何度も目が覚めてしまい、朝スッキリしない」といった睡眠に関する悩みは、多くの現代人が抱える共通の課題です。質の高い睡眠は、日中のパフォーマンス向上はもちろん、心身の健康を維持する上で欠かせません。
この悩みを解決する選択肢の一つとして、海外で広く利用されているのが「メラトニン」のサプリメントです。日本では医薬品に分類されるため市販されていませんが、個人輸入という形で手に入れることが可能であり、特に海外サプリ通販サイト「iHerb(アイハーブ)」などで人気を集めています。
しかし、メラトニンとは一体どのような物質で、なぜ睡眠に効果があるのでしょうか。また、サプリメントとして摂取する際に、副作用や注意すべき点はないのでしょうか。
この記事では、睡眠を司るホルモン「メラトニン」の基本的な仕組みから、サプリメントに期待できる具体的な効果、考えられる副作用と安全な摂取方法までを網羅的に解説します。さらに、日本国内での法的な取り扱いや、iHerbを利用した具体的な購入手順、おすすめの製品選びのポイント、そしてサプリに頼らず自力でメラトニンを増やす生活習慣まで、メラトニンに関するあらゆる疑問に答え、読者が正しい知識を持って最適な選択をするための情報を提供します。
この記事を最後まで読めば、あなたがメラトニンサプリを利用すべきかどうか、そして利用する場合にはどのように安全かつ効果的に活用すれば良いかが明確に理解できるでしょう。
目次
メラトニンとは?
メラトニンは、私たちの体内で自然に生成されるホルモンの一種であり、主に睡眠と覚醒のサイクル、いわゆる「体内時計(サーカディアンリズム)」を調整する極めて重要な役割を担っています。その働きから「睡眠ホルモン」や「夜のホルモン」とも呼ばれ、質の高い眠りには欠かせない物質として知られています。
この章では、メラトニンがどのようにして私たちの眠りを誘うのか、その基本的な仕組みから、体内で生成されるプロセス、そして現代生活において不足しがちな原因までを、専門的な知識を交えながら分かりやすく掘り下げていきます。
睡眠を促すホルモン「メラトニン」の仕組み
私たちの体には、約24時間周期でリズムを刻む「体内時計」が備わっています。この時計は、脳の視床下部にある視交叉上核(しこうさじょうかく)という神経核が司令塔となってコントロールしており、睡眠、覚醒、体温、血圧、ホルモン分泌など、生命活動の基本的なリズムを調整しています。
メラトニンは、この体内時計からの指令を受けて、脳の中心部にある「松果体(しょうかたい)」という小さな器官から分泌されます。メラトニンの分泌は、光によって強力にコントロールされるという特徴があります。
具体的には、朝、目から太陽の光が入ると、その情報が視交叉上核に伝わり、松果体に対してメラトニンの分泌を停止するよう指令が出されます。これにより、私たちは覚醒し、活動的な状態になります。
一方、夜になり周囲が暗くなると、光の刺激がなくなるため、視交叉上核は松果体にメラトニンを分泌するよう指令を出します。分泌されたメラトニンは血流に乗って全身を巡り、体の各器官に「夜が来たから休む時間だ」というシグナルを送ります。これにより、脈拍、体温、血圧などが緩やかに低下し、体は自然と睡眠状態へと誘導されるのです。
このように、メラトニンは単に眠気を誘発するだけでなく、体全体を休息モードに切り替えるスイッチのような役割を果たしています。メラトニンの分泌量がピークに達するのは、一般的に深夜2時から4時頃とされており、その後、夜が明けて再び光を浴びると、その分泌は急激に減少し、私たちは覚醒します。この一連のサイクルが、私たちの健康的な睡眠・覚醒リズムを形作っているのです。
体内でメラトニンが作られるプロセス
メラトニンが体内でどのように作られるのか、その生成プロセスを理解することは、自力でメラトニンの分泌を促すヒントにも繋がります。
メラトニンの生成は、必須アミノ酸の一つである「トリプトファン」から始まります。トリプトファンは体内で生成できないため、食事から摂取する必要があります。
- トリプトファンの摂取: まず、肉、魚、大豆製品、乳製品、バナナといった食品からトリプトファンを摂取します。
- セロトニンへの変換: 摂取されたトリプトファンは、日中に太陽の光を浴びることなどをきっかけに、脳内で「セロトニン」という神経伝達物質に変換されます。セロトニンは精神の安定や幸福感に関わることから「幸せホルモン」とも呼ばれ、日中の私たちの活動や気分の調整に重要な役割を果たします。
- メラトニンへの変換: そして夜、周囲が暗くなると、日中に作られて蓄えられたセロトニンを材料として、松果体でメラトニンが合成されます。
つまり、「トリプトファン(材料) → セロトニン(中間生成物) → メラトニン(最終生成物)」という流れで生成されるのです。このプロセスから分かるように、夜に十分なメラトニンを分泌するためには、日中の過ごし方が非常に重要になります。具体的には、メラトニンの材料となるトリプトファンを十分に摂取すること、そしてトリプトファンからセロトニンへの変換を促すために、日中にしっかりと太陽の光を浴びることが鍵となります。
このセロトニンとメラトニンの関係は、いわば昼と夜のバトンタッチのようなものです。日中はセロトニンが心身を活発にし、夜はそのセロトニンがメラトニンに姿を変えて、私たちを安らかな眠りへと導いてくれるのです。
メラトニンが不足する主な原因
健康的な生活を送っていても、いくつかの要因によってメラトニンの分泌が妨げられ、不足してしまうことがあります。ここでは、その主な原因を3つに分けて解説します。
加齢による分泌量の減少
メラトニンの分泌量は、一生を通じて一定ではありません。メラトニンの分泌は幼児期に最も多く、思春期をピークに、その後は年齢とともに徐々に減少していくことが科学的に明らかになっています。
特に、40代以降になるとその減少は顕著になり、高齢者になると若い頃の半分以下、場合によっては数分の一にまで落ち込むこともあります。これが、高齢になると「寝つきが悪くなる」「夜中に目が覚めやすくなる」「朝早く目が覚めてしまう」といった睡眠の悩みが増える大きな原因の一つと考えられています。加齢による自然な生理現象であるため、避けることは難しいですが、この事実を理解しておくことは重要です。
夜間のブルーライト
現代生活において、メラトニン不足の最大の原因とも言えるのが、スマートフォン、パソコン、タブレット、テレビ、LED照明などから発せられる「ブルーライト」です。
ブルーライトは、可視光線の中でも特に波長が短く、強いエネルギーを持っています。私たちの脳は、このブルーライトを「昼間の太陽光」と誤認識してしまいます。そのため、夜間にブルーライトを浴びると、体内時計の司令塔である視交叉上核が「まだ昼だ」と判断し、松果体に対してメラトニンの分泌を強力に抑制する指令を出してしまうのです。
特に就寝前にベッドの中でスマートフォンを操作する習慣は、質の高い睡眠を得る上で最も避けるべき行為の一つです。メラトニンの分泌が遅れたり、抑制されたりすることで、寝つきが悪くなるだけでなく、睡眠全体の質が低下し、翌日の倦怠感や集中力低下に繋がります。
不規則な生活習慣
体内時計は、毎日同じ時間に光を浴び、同じ時間に食事をとり、同じ時間に眠るといった規則正しい生活を送ることで、そのリズムを正常に保っています。しかし、夜更かし、休日の寝だめ、シフトワーク、食事時間の乱れといった不規則な生活習慣は、この体内時計を大きく狂わせてしまいます。
体内時計が乱れると、メラトニンを分泌すべき時間にうまく分泌されなかったり、逆に分泌すべきでない時間に分泌されたりと、タイミングがずれてしまいます。例えば、夜勤などで昼夜が逆転した生活を送っている人は、本来メラトニンが分泌されるべき日中に覚醒し、分泌が抑制されるべき夜間に眠る必要があるため、体内時計と生活リズムの間に深刻な不一致が生じ、慢性的な睡眠不足や体調不良に陥りやすくなります。
これらの原因を理解し、対策を講じることが、メラトニン不足を解消し、自然な眠りを取り戻すための第一歩となります。
メラトニンサプリに期待できる効果
メラトニンサプリメントは、体内で不足したメラトニンを直接補うことで、睡眠に関する様々な悩みの改善が期待されています。その効果は、単に眠りを誘うだけでなく、睡眠の質そのものを高める働きや、生活リズムの乱れを整える効果、さらにはアンチエイジングといった側面まで多岐にわたります。
この章では、メラトニンサプリメントを摂取することで期待できる主な4つの効果について、科学的な知見を交えながら詳しく解説していきます。
寝つきが良くなる
メラトニンサプリの最も代表的な効果は、入眠困難の改善、つまり「寝つきが良くなる」ことです。これは、サプリメントによって血中のメラトニン濃度を人為的に高めることで、脳と体に「夜が来た」という強力なシグナルを送り、自然な眠気を誘発するためです。
専門的には、「睡眠潜時(Sleep Latency)」の短縮効果として知られています。睡眠潜時とは、ベッドに入ってから実際に眠りにつくまでの時間のことです。不眠に悩む多くの人は、この睡眠潜時が長くなる傾向にあります。
複数の研究を統合したメタアナリシス(科学的信頼性の高い分析手法)によると、メラトニンの摂取は、プラセボ(偽薬)と比較して、睡眠潜時を有意に短縮させることが報告されています。特に、普段から寝つきが悪いと感じている人や、考え事をしてしまってなかなか頭がオフにならない人にとって、メラトニンはスムーズな入眠をサポートする心強い味方となる可能性があります。サプリメントを摂取してから30分から1時間ほどで効果が現れ始め、心身がリラックスし、自然とまぶたが重くなってくるような感覚が期待できます。
深い眠りの時間を増やし睡眠の質を高める
質の高い睡眠とは、単に長時間眠ることではありません。睡眠には、浅い眠りの「レム睡眠」と、深い眠りの「ノンレム睡眠」があり、これらが一晩のうちに約90分周期で繰り返されています。特に、成長ホルモンの分泌や脳と体の疲労回復に重要なのが、ノンレム睡眠の中でも最も深い段階である「徐波睡眠(じょはすいみん)」です。
夜中に何度も目が覚めてしまう「中途覚醒」や、朝起きた時に「ぐっすり眠った感じがしない」という熟睡感の欠如は、この深い睡眠が不足していることが一因と考えられます。
メラトニンには、この睡眠サイクルを安定させ、深いノンレム睡眠の時間を増加させる効果が期待されています。メラトニンが体内時計を正常に機能させ、睡眠リズムを整えることで、中途覚醒の回数を減らし、より安定した睡眠構造を維持する助けとなります。
結果として、睡眠の断片化が改善され、一晩を通して継続的に深く眠れるようになります。これにより、翌朝の目覚めがスッキリとし、日中の眠気や倦怠感が軽減され、集中力や生産性の向上にも繋がります。つまり、メラトニンは睡眠の「量」だけでなく「質」を総合的に高めるポテンシャルを秘めているのです。
時差ボケを和らげる
海外旅行や海外出張の際に多くの人が経験する「時差ボケ(ジェットラグ)」は、体内時計と現地の時刻との間に生じるズレが原因で起こります。体内時計は急激な時間変化にすぐには適応できず、新しい環境の昼夜リズムと体のリズムが一致しないため、日中の激しい眠気、夜の不眠、疲労感、消化不良といった様々な不快な症状が現れます。
メラトニンサプリメントは、この時差ボケの予防と緩和に非常に効果的であることが広く知られています。そのメカニズムは、体内時計を現地の時刻に強制的にリセットするというものです。
具体的には、渡航先の就寝時間に合わせてメラトニンを摂取することで、脳に対して「今が夜である」と認識させ、体内時計の針を前に進めたり(東向きのフライト)、後ろにずらしたり(西向きのフライト)するのを助けます。これにより、新しいタイムゾーンへの適応がスムーズになり、時差ボケの期間を短縮し、症状を軽減することができます。
例えば、日本からアメリカへ向かう東向きのフライトの場合、到着地の夕方から夜の時間帯(午後10時頃)にメラトニンを摂取することで、現地のリズムに同調しやすくなります。多くの研究で、メラトニンの使用が時差ボケの症状を大幅に改善することが示されており、国際線のパイロットや客室乗務員、頻繁に海外渡航するビジネスパーソンなどにも活用されています。
抗酸化作用によるアンチエイジング効果
メラトニンの役割は、睡眠の調整だけにとどまりません。実は、メラトニンは体内で最も強力な抗酸化物質の一つであることが分かっています。
私たちの体内では、呼吸によって取り入れた酸素を利用してエネルギーを作り出す過程で、「活性酸素」という物質が副次的に生成されます。活性酸素は、過剰になると細胞膜やDNAを傷つけ(酸化させ)、老化やがん、生活習慣病など、様々な病気の引き金になると考えられています。この活性酸素によるダメージを「酸化ストレス」と呼びます。
メラトニンは、この有害な活性酸素を効率的に除去し、細胞を酸化ストレスから保護する強力な働きを持っています。ビタミンCやビタミンEといった他の有名な抗酸化物質よりも、その効果は高いとも言われています。
この強力な抗酸化作用により、メラトニンには以下のようなアンチエイジング効果が期待されています。
- 肌の老化防止: 紫外線などによる酸化ダメージから皮膚細胞を守り、シワやたるみの予防に繋がる可能性があります。
- 神経保護作用: 脳細胞を酸化ストレスから守ることで、アルツハイマー病やパーキンソン病といった神経変性疾患のリスクを低減する可能性が研究されています。
- 免疫機能の調整: 免疫細胞の働きをサポートし、感染症への抵抗力を高める効果も報告されています。
これらの効果については、まだ研究段階のものも多いですが、メラトニンが睡眠改善を通じて間接的に健康をサポートするだけでなく、直接的な細胞レベルでの保護作用を通じて、私たちの体を若々しく健康に保つ上で重要な役割を果たしている可能性を示唆しています。質の高い睡眠が美容と健康に良いと言われる背景には、このメラトニンの抗酸化作用も大きく関わっているのです。
メラトニンサプリの副作用と注意点
メラトニンサプリメントは、正しく使用すれば多くの人にとって安全で効果的なものですが、医薬品成分である以上、副作用のリスクや使用上の注意点が全くないわけではありません。特に、個人輸入で入手する場合は、専門家のアドバイスを受けずに使用することになるため、自分自身でリスクを十分に理解し、慎重に判断することが極めて重要です。
この章では、メラトニンサプリメントの摂取によって考えられる主な副作用、服用を避けるべき人、そして安全に利用するための摂取量やタイミングについて、具体的に解説します。
考えられる主な副作用
メラトニンの副作用は、一般的に軽度で一過性のものが多いとされていますが、体質や摂取量によっては不快な症状が現れることがあります。
日中の眠気やだるさ
最も報告の多い副作用が、翌日の日中にまで持ち越される眠気やだるさ(倦怠感)です。これは、主に以下のような場合に起こりやすいと考えられます。
- 高用量の摂取: 自分にとって必要以上の量のメラトニンを摂取すると、体がそれを分解・代謝しきれず、翌朝になっても血中濃度が高いままとなり、眠気が残ってしまうことがあります。
- 作用時間が長いタイプ(タイムリリース)の摂取: 夜中の覚醒を防ぐための持続性製剤は、効果が長く続く分、朝になっても作用が抜けきらないことがあります。
- 摂取タイミングが遅い: 就寝の直前すぎる時間や、夜中に目が覚めた時に摂取すると、起床時間までにメラトニンが体から十分に排泄されず、翌日に影響が出やすくなります。
この副作用は、摂取量を減らしたり、より作用時間の短いタイプに変更したり、摂取する時間を早めたりすることで改善されることが多いです。
頭痛やめまい
一部の人では、メラトニンを摂取した後に頭痛や、ふらつき・めまいを感じることがあります。これは、メラトニンが脳の血管に作用することなどが原因として考えられていますが、明確なメカニズムは完全には解明されていません。これらの症状が現れた場合は、一度使用を中止し、症状が続くようであれば医師に相談することをおすすめします。
悪夢を見やすくなる
メラトニンは、夢を見ることが多い「レム睡眠」の割合や質に影響を与えることがあります。そのため、副作用として、非常に鮮明な夢や、時には悪夢を見やすくなるという報告があります。これは、メラトニンによって睡眠パターンが変化するために起こる現象と考えられます。多くの場合は一時的なものですが、悪夢が続くことでかえって睡眠の質が損なわれると感じる場合は、摂取量を減らすか使用を中止するのが賢明です。
これらの副作用は、いずれも摂取を中止すれば改善するものがほとんどです。重要なのは、少量から試し、自分の体に異変がないか注意深く観察することです。
サプリの服用を避けるべき人
メラトニンサプリメントは、誰にでも安全というわけではありません。以下に該当する方は、健康上のリスクを高める可能性があるため、原則として服用を避けるべきです。
妊娠中・授乳中の女性
妊娠中および授乳中の女性に対するメラトニンの安全性は、現時点で十分に確立されていません。ホルモンは胎児の発育や乳児の成長に複雑な影響を与える可能性があるため、自己判断での摂取は絶対に避けるべきです。睡眠に悩みがある場合は、必ず産婦人科医やかかりつけの医師に相談し、安全な対処法について指導を受けてください。
自己免疫疾患がある人
メラトニンには免疫系を活性化させる作用があることが知られています。このため、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性硬化症といった自己免疫疾患を持つ人がメラトニンを摂取すると、免疫系が過剰に刺激され、症状を悪化させるリスクがあります。該当する疾患をお持ちの方は、メラトニンの使用について必ず主治医に相談してください。
特定の薬を服用している人
メラトニンは、他の医薬品と相互作用を起こし、薬の効果を強めたり弱めたり、副作用のリスクを高めたりすることがあります。特に注意が必要なのは、以下のような薬を服用している場合です。
- 血液凝固阻止薬(抗凝固薬): ワルファリン(商品名:ワーファリン)など。メラトニンが出血傾向を強める可能性があります。
- 免疫抑制剤: シクロスポリンなど。臓器移植後や自己免疫疾患の治療で使われる薬の効果を、メラトニンが弱めてしまう可能性があります。
- 血圧降下薬: 降圧薬の効果に影響を与え、血圧が下がりすぎる可能性があります。
- 糖尿病治療薬: 血糖値に影響を与え、血糖コントロールを乱す可能性があります。
- 抗てんかん薬: てんかん発作のリスクを高める可能性が指摘されています。
- 精神安定剤や睡眠薬: 作用が過剰に強まり、深刻な眠気や呼吸抑制などを引き起こす危険があります。
ここに挙げた以外にも相互作用を起こす薬は存在します。何らかの病気の治療で日常的に薬を服用している場合は、メラトニンサプリを使用する前に、必ず医師または薬剤師に相談してください。
安全な摂取量と飲むタイミング
メラトニンサプリメントを安全かつ効果的に使用するためには、適切な摂取量とタイミングを守ることが非常に重要です。
- 摂取量: メラトニンサプリの推奨摂取量に世界的な基準はありませんが、一般的には1日あたり0.5mg〜5mgの範囲で使用されることが多いです。重要なのは、必ず低用量(0.5mgや1mgなど)から始めることです。少量で効果が得られるのであれば、それ以上の量を摂取する必要はありません。効果が見られない場合にのみ、少しずつ量を増やし、自分に合った最適な量を見つけていくのが安全なアプローチです。海外製品には10mgや20mgといった高用量のものも存在しますが、副作用のリスクも高まるため、初心者がいきなり手を出すのは避けるべきです。
- 飲むタイミング: メラトニンは、体内で自然に分泌されるリズムに合わせて摂取することで、最も効果を発揮します。就寝を希望する時間の30分〜1時間前に摂取するのが一般的です。摂取後すぐに効果が出るわけではないため、ベッドに入る少し前に飲むのが良いでしょう。また、毎日同じ時間に摂取することで、体内時計がそのリズムを学習し、より安定した効果が期待できます。夜中に目が覚めた時に追加で飲むのは、翌日に眠気を持ち越す原因になるため避けましょう。
メラトニンは「多ければ多いほど効く」というものではありません。 むしろ、過剰摂取は体内本来のメラトニン産生能力を低下させる可能性も指摘されています。あくまでも睡眠リズムを整えるための「きっかけ」として、最小有効量を見つけることを心がけましょう。
日本におけるメラトニンの取り扱いについて
メラトニンサプリメントは、アメリカをはじめとする多くの国ではドラッグストアやスーパーマーケットで誰でも気軽に購入できる健康食品として扱われています。しかし、日本ではその状況が大きく異なります。なぜ日本では市販されていないのか、医療用としてはどのように使われているのか、そして個人が海外から購入することは法的に問題ないのか。
この章では、日本国内におけるメラトニンの法的な位置づけと取り扱いについて、正確な情報をもとに詳しく解説します。
日本国内でメラトニンサプリが市販されていない理由
日本でメラトニンサプリが店頭に並んでいない理由は、日本の法律(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律、通称:薬機法)において、メラトニンが「医薬品成分」に分類されているためです。
薬機法では、物質の成分、形状、そして表示されている効能効果などに基づいて、それが「医薬品」に該当するか「食品(サプリメントなど)」に該当するかを判断します。メラトニンは、人の体の構造や機能に影響を与えるホルモンであり、睡眠を改善するという明確な薬理作用を持つことから、日本では医薬品として扱われます。
医薬品を製造・販売するには、厚生労働大臣による厳格な審査を経て、品質、有効性、安全性に関する承認を得る必要があります。そして、その販売は医師の処方箋が必要な「医療用医薬品」や、薬剤師の管理下で販売される「要指導医薬品」「一般用医薬品」などに限られます。
つまり、日本ではメラトニンを含んだ製品を「サプリメント」という区分の食品として販売することは、法律で認められていないのです。これが、国内のドラッグストアやサプリメントショップでメラトニン製品を見かけることがない根本的な理由です。
医療機関で処方される医薬品「メラトベル」との違い
日本国内でメラトニンが全く利用できないわけではありません。2020年3月に、日本で唯一のメラトニン含有医薬品として「メラトベル顆粒小児用0.2%」が承認され、医療機関で処方されています。
ただし、この「メラトベル」は、海外でサプリメントとして販売されているメラトニンとはいくつかの重要な違いがあります。
項目 | メラトベル顆粒小児用0.2% | 海外のメラトニンサプリ |
---|---|---|
分類 | 医療用医薬品 | 食品(サプリメント)※海外での分類 |
対象者 | 小児(6歳~15歳)の神経発達症に伴う入眠困難 | 主に成人 |
主な目的 | 治療(医師の診断・処方が必須) | 睡眠サポート(自己判断で使用) |
剤形 | 徐放性(じょほうせい)製剤 | 速放性、徐放性(タイムリリース)、液体、グミなど多様 |
含有量 | 1mgから処方開始、最大4mgまで | 0.5mg~20mg以上まで様々 |
入手方法 | 医療機関での処方箋が必要 | 個人輸入 |
(参照:医薬品医療機器総合機構(PMDA) メラトベル添付文書)
最も大きな違いは、メラトベルが「小児」の「神経発達症(自閉スペクトラム症など)」という特定の疾患に伴う入眠障害の「治療」を目的とした薬である点です。成人の一般的な不眠症に対しては保険適用外であり、処方されることは基本的にありません。
また、メラトベルは「徐放性製剤」であることも特徴です。これは、服用後に成分がゆっくりと時間をかけて放出されるように設計されており、寝つきを良くするだけでなく、夜間の睡眠を維持する効果を狙ったものです。一方、海外のサプリには、すぐに効果が現れる速放性のものや、同じく徐放性のもの(タイムリリースと表記されることが多い)など、様々なタイプが存在します。
このように、日本で医療用として使われるメラトニンと、個人輸入で購入できるサプリメントとでは、その目的、対象者、法的な位置づけが全く異なることを理解しておく必要があります。
個人輸入での購入は合法
「日本では医薬品なのに、海外から買って使っても大丈夫なの?」と疑問に思うかもしれませんが、結論から言うと、個人が自分自身で使用する目的で、海外から一定量の医薬品などを輸入すること(個人輸入)は、法律で認められています。
厚生労働省は、医薬品の個人輸入について以下のようなルールを定めています。
- 目的: 輸入者個人の自己使用に限られる。他者への販売や譲渡は、薬機法違反となり、厳しく罰せられます。
- 数量制限: 一般的に、用法用量からみて1ヶ月分(外用薬や一部の医薬品は2ヶ月分)以内とされています。メラトニンの場合、1瓶に60錠や120錠入っている製品が多いため、1日1錠服用すると仮定すれば、1〜2ヶ月分となり、この範囲内に収まることがほとんどです。ただし、一度に大量の製品を注文すると、税関で個人使用の範囲を超えると判断され、没収や返送の対象となる可能性があるため注意が必要です。
(参照:厚生労働省 医薬品等の個人輸入について)
iHerbなどの海外通販サイトを利用してメラトニンサプリを購入する行為は、この個人輸入の制度に基づいているため、定められたルールを守る限りは合法的です。
ただし、個人輸入には大きな責任が伴います。輸入した製品の品質や安全性は、日本の公的な保証があるわけではなく、すべて自己責任となります。万が一、健康被害が生じた場合でも、日本の医薬品副作用被害救済制度の対象にはなりません。この点を十分に理解した上で、信頼できるサイトから、信頼できるメーカーの製品を選ぶことが非常に重要です。
iHerb(アイハーブ)でのメラトニンサプリの買い方【4ステップ】
日本国内では市販されていないメラトニンサプリですが、個人輸入を利用すれば合法的に購入できます。その代表的な方法が、世界中の自然派製品やサプリメントを取り扱う大手ECサイト「iHerb(アイハーブ)」の利用です。
iHerbは日本語に対応しており、日本の住所へ直接配送してくれるため、海外通販でありながら国内のネットショッピングに近い感覚で利用できます。ここでは、初めてiHerbでメラトニンサプリを購入する方のために、アカウント作成から注文完了までの流れを4つのステップに分けて具体的に解説します。
① iHerbのアカウントを作成する
まず最初に、iHerbで買い物をするためのアカウントを作成します。
- iHerb公式サイトにアクセス: パソコンまたはスマートフォンのブラウザでiHerbの公式サイトを開きます。
- アカウント作成ページへ: サイトの右上(スマートフォンではメニュー内)にある人型のアイコンや「サインイン/アカウント作成」といったリンクをクリックします。
- 情報の入力:
- メールアドレス: 注文確認メールなどが届くため、普段使っている正確なメールアドレスを入力します。
- パスワード: セキュリティのために、推測されにくい複雑なパスワードを設定しましょう。
- 電話番号: 配送時の連絡などに使われることがあります。日本の国番号(+81)を選択し、最初の「0」を除いた電話番号(例:090-1234-5678 → 9012345678)を入力します。
- 同意して作成: 利用規約とプライバシーポリシーを確認し、チェックボックスにチェックを入れて「アカウント作成」ボタンを押します。
これでアカウント作成は完了です。登録したメールアドレスに確認メールが届く場合があるので、チェックしておきましょう。
② 購入したいメラトニンサプリを探す
アカウントが作成できたら、次は目的のメラトニンサプリを探します。
- 検索バーを利用する: サイトの上部にある検索バーにキーワードを入力します。「メラトニン」と日本語で入力しても検索できますが、「melatonin」と英語で入力する方が、より多くの商品がヒットする傾向があります。
- 商品を絞り込む: 検索結果には非常に多くの商品が表示されるため、フィルター機能を使って絞り込むと便利です。画面の左側(スマートフォンでは「絞り込み」ボタン)に、以下のようなフィルターがあります。
- 形状: 「タブレット」「カプセル」「グミ」「液体」など、希望するサプリの形状を選べます。
- 含有量: 「3mg」「5mg」「10mg」など、成分の含有量で絞り込めます。初心者は低用量のものから探すのがおすすめです。
- ブランド: Natrol、NOW Foodsなど、特定のブランドが決まっている場合に便利です。
- レビューや評価: 評価の高い順に並べ替えることで、人気の高い商品を見つけやすくなります。
- 商品詳細を確認する: 気になる商品を見つけたら、商品ページをクリックして詳細を確認します。特に「商品説明」「ご使用の目安」「成分」「警告」の項目は必ず目を通しましょう。 含有量、内容量(錠剤の数)、飲み方、注意点などが記載されています。また、他の購入者によるレビューも非常に参考になります。日本語のレビューも多数投稿されているので、実際に使った人の感想を確認してみましょう。
③ カートに入れて購入手続きに進む
購入したい商品が決まったら、いよいよ購入手続きです。
- カートに追加: 商品ページで数量を選択し、「カートに追加する」ボタンをクリックします。他にも購入したい商品があれば、同様に検索してカートに追加します。
- カートの中身を確認: サイト右上のカートアイコンをクリックすると、現在カートに入っている商品の一覧が表示されます。商品、数量、金額に間違いがないか確認しましょう。
- プロモコードの入力: iHerbでは、セールやキャンペーンで割引が適用される「プロモコード」が発行されることがあります。もし利用できるコードがあれば、この画面で入力して「利用する」ボタンを押すと、割引が適用されます。
- レジに進む: 内容に問題がなければ、「レジに進む」ボタンをクリックして、配送先と支払い情報の入力画面に移ります。
④ 配送先と支払い情報を入力して注文を完了する
最後に、配送先と支払い情報を入力して注文を確定させます。
- 配送先住所の入力:
- 氏名: パスポートやクレジットカードと同じ、本名のローマ字で入力するのが基本です。
- 住所: 住所もすべて英語(ローマ字)で入力します。日本の住所を英語表記に変換してくれるウェブサイトなどを利用すると便利です。入力順序は日本と逆で、「番地・建物名 → 市区町村 → 都道府県」の順になります。
- 例:東京都千代田区丸の内1-2-3 ABCマンション405号室
- → ABC Mansion #405, 1-2-3 Marunouchi, Chiyoda-ku, Tokyo
- 郵便番号: ハイフンなしで入力します(例:1000005)。
- 電話番号: 先ほど登録したものが表示されます。
- 配送方法の選択: 佐川急便やヤマト運輸など、いくつかの配送業者から選べます。送料や配送予定日を確認して、希望の配送方法を選択します。
- 支払い情報の入力:
- クレジットカード: カード番号、有効期限、セキュリティコード、カード名義人(ローマ字)を入力します。
- その他: PayPalやコンビニ払い、Pay-easyなど、他の支払い方法が選択できる場合もあります。
- 最終確認と注文確定:
- 入力したすべての情報(商品、配送先、支払い方法、合計金額)が最終画面に表示されます。特に、個人輸入の免税範囲(一般的に16,666円以下)を超えていないか、注文数量が個人使用の範囲内かなどを最後にもう一度確認しましょう。
- すべて問題がなければ、「注文する」ボタンをクリックします。
これで注文は完了です。登録したメールアドレスに注文確認メールが届きます。あとは商品が届くのを待つだけです。通常、1週間から10日ほどで日本の住所に届けられます。
iHerbで買えるおすすめメラトニンサプリ5選
iHerbでは数多くのブランドから多種多様なメラトニンサプリが販売されており、どれを選べば良いか迷ってしまうかもしれません。ここでは、iHerbの中でも特に人気と実績があり、特徴の異なる5つの製品をピックアップしてご紹介します。
注意: ここで紹介する製品はあくまで選択肢の一例です。サプリメントの効果や相性には個人差があるため、必ずご自身の体質や目的に合ったものを選んでください。また、製品の情報(価格、パッケージデザイン、成分など)は変更される可能性があるため、購入時には必ずiHerb公式サイトで最新の情報をご確認ください。
① Natrol, メラトニン, タイムリリース, 5mg
項目 | 詳細 |
---|---|
ブランド | Natrol(ナトロール) |
含有量 | 5mg |
特徴 | タイムリリース(徐放性)、ビタミンB6配合 |
形状 | タブレット |
こんな人におすすめ | 夜中に何度も目が覚めてしまう(中途覚醒)人 |
アメリカのサプリメント市場でトップクラスのシェアを誇るNatrol社の製品です。最大の特徴は「タイムリリース(Time Release)」と呼ばれる徐放性であること。服用後、まず外層が溶けて寝つきをサポートし、その後、内層が数時間かけてゆっくりと溶け出す二段階設計になっています。これにより、メラトニンの血中濃度が長時間安定し、夜間の睡眠を維持し、中途覚醒を防ぐ効果が期待できます。寝つきは悪くないけれど、朝方までに目が覚めてしまうという悩みを抱える方に特に適しています。また、神経伝達物質の合成を助けるビタミンB6が配合されているのもポイントです。
② NOW Foods, メラトニン, 3mg
項目 | 詳細 |
---|---|
ブランド | NOW Foods(ナウフーズ) |
含有量 | 3mg |
特徴 | 高品質でコストパフォーマンスが高い、速放性 |
形状 | カプセル |
こんな人におすすめ | メラトニンサプリを初めて試す人、寝つきが悪い人 |
NOW Foodsは、品質の高さと手頃な価格でiHerbユーザーから絶大な支持を得ている定番ブランドです。この製品は、メラトニンサプリの標準的な含有量である3mgで、クセのない速放性のカプセルタイプです。服用後、比較的速やかに体内に吸収されるため、布団に入ってもなかなか寝付けないという入眠困難の改善に適しています。品質管理が徹底されており、安心して試せることから、メラトニンサプリの入門編として最適と言えるでしょう。コストパフォーマンスも非常に高いため、継続しやすいのも魅力です。
③ Life Extension, メラトニン6時間タイムリリース, 3mg
項目 | 詳細 |
---|---|
ブランド | Life Extension(ライフエクステンション) |
含有量 | 3mg |
特徴 | 6時間持続するタイムリリース、科学的根拠を重視 |
形状 | 植物性カプセル |
こんな人におすすめ | 睡眠の質を総合的に高めたい人、科学的アプローチを好む人 |
Life Extensionは、最先端の科学研究に基づいた製品開発で知られる、信頼性の高いブランドです。この製品は「6時間タイムリリース」と、具体的な作用時間が明記されている点が大きな特徴です。微結晶セルロースと植物性ワックスを組み合わせた独自の処方により、約6時間にわたってメラトニンが安定して放出され、理想的な睡眠サイクルをサポートします。これにより、入眠だけでなく、睡眠全体の質を向上させる効果が期待できます。科学的な裏付けを重視し、より精密な睡眠コントロールを求める方におすすめです。
④ Source Naturals, スリープサイエンス メラトニングミ
項目 | 詳細 |
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ブランド | Source Naturals(ソースナチュラルズ) |
含有量 | 2.5mg(1粒あたり) |
特徴 | グミタイプ、オレンジ風味で美味しい |
形状 | グミ |
こんな人におすすめ | 錠剤やカプセルを飲むのが苦手な人、手軽に摂取したい人 |
錠剤やカプセルを飲み込むのが苦手な方や、サプリメントの摂取をもっと手軽にしたい方には、グミタイプのこちらがおすすめです。Source Naturalsのメラトニングミは、美味しいオレンジ風味で、お菓子感覚で摂取できます。水なしでどこでも手軽に摂れるのもメリットです。1粒あたり2.5mgと、含有量の調整がしやすいのもポイント。ただし、グミタイプは砂糖や甘味料が含まれていることが多いため、糖質を気にしている方は成分表示を確認しましょう。楽しみながら睡眠ケアをしたいという方にぴったりの選択肢です。
⑤ 21st Century, メラトニン, 10mg
項目 | 詳細 |
---|---|
ブランド | 21st Century(21世紀) |
含有量 | 10mg |
特徴 | 高含有量、優れたコストパフォーマンス |
形状 | タブレット |
こんな人におすすめ | 低用量では効果を感じられなかった上級者 |
こちらは1粒に10mgという高含有量のメラトニンを含む製品です。3mgや5mgといった標準的な用量では十分な効果が得られなかった方が、次のステップとして検討する選択肢となります。21st Centuryは非常にコストパフォーマンスに優れたブランドであり、低価格で高含有量の製品を手に入れられるのが魅力です。ただし、高用量のメラトニンは、翌日への眠気の持ち越しや頭痛といった副作用のリスクも高まります。 初心者がいきなり使用するのは絶対に避けるべきです。必ず低用量から試し、必要性を慎重に判断した上で、自己責任において使用を検討してください。
メラトニンサプリの選び方のポイント
数あるメラトニンサプリの中から、自分に最適な製品を見つけるためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。「含有量」「形状」「作用時間」という3つの主要な要素に注目し、それぞれの特徴を理解することで、あなたの睡眠の悩みやライフスタイルに合ったサプリメントを選ぶことができます。
含有量(mg)で選ぶ
メラトニンサプリを選ぶ上で最も重要なのが、1粒あたりに含まれるメラトニンの含有量(mg数)です。
- 低用量(0.5mg~3mg): 初めてメラトニンサプリを試す方は、必ずこの低用量の範囲から始めることを強く推奨します。 メラトニンは「多ければ多いほど良い」というものではなく、少量でも効果を感じる人は少なくありません。まずは1mgや3mgの製品を選び、自分の体にどのような変化があるかを確認しましょう。副作用のリスクを最小限に抑え、安全に試すための基本です。
- 中用量(5mg): 低用量では効果が不十分だと感じた場合に、次に検討するステップです。寝つきの悪さや中途覚醒がなかなか改善されない場合に選択肢となります。
- 高用量(10mg以上): これは、中用量でも効果が見られなかった場合の最終的な選択肢であり、上級者向けです。時差ボケの調整など、強力な体内時計のリセットが必要な場合に用いられることもありますが、日中の眠気や頭痛などの副作用のリスクが大幅に高まります。安易に高用量に手を出すのではなく、まずは生活習慣の見直しなど、他のアプローチも並行して行いましょう。
重要なのは、最小有効量を見つけることです。3mgで十分な効果があるなら、5mgや10mgに増やす必要は全くありません。自分の体と相談しながら、最適な含有量を探っていくことが賢明な使い方です。
形状(タブレット・グミ・液体)で選ぶ
メラトニンサプリは、様々な形状で提供されており、それぞれにメリット・デメリットがあります。自分の好みやライフスタイルに合わせて選びましょう。
形状 | メリット | デメリット | こんな人におすすめ |
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タブレット/カプセル | ・コストパフォーマンスが最も良い ・製品の種類が非常に豊富 ・含有量の選択肢が多い ・糖分などが含まれない |
・錠剤を飲み込むのが苦手な人もいる ・水が必要 |
・コストを最優先したい人 ・定番の製品から選びたい人 ・糖質を気にする人 |
グミ | ・水なしで手軽に摂取できる ・お菓子感覚で美味しく続けやすい ・味がついている |
・糖分や人工甘味料が含まれることが多い ・タブレットに比べて割高 ・含有量の微調整がしにくい |
・錠剤を飲むのが苦手な人 ・サプリ摂取に抵抗がある人 ・手軽さを重視する人 |
液体(リキッド/スプレー) | ・スポイト式で含有量の微調整が非常に容易 ・舌下吸収により吸収が速いとされる ・カプセルなどが苦手でも摂取可能 |
・味が独特な製品がある ・持ち運びや保管に少し気を使う ・製品の種類が比較的少ない |
・自分に合った用量を細かく探りたい人 ・より速効性を求める人 ・嚥下(えんげ)が困難な人 |
作用時間(速放性・持続性)で選ぶ
自分の睡眠の悩みが「寝つきが悪い」ことなのか、「夜中に目が覚める」ことなのかによって、選ぶべきサプリのタイプは異なります。これは製品の作用時間に関わる重要なポイントです。
- 速放性(Fast/Instant Release, Fast Dissolveなど):
- 特徴: 服用後、成分が速やかに体内に放出・吸収されます。血中濃度が短時間でピークに達し、作用時間も比較的短いタイプです。
- どんな人向けか: 布団に入ってから何時間も眠れない、といった「入眠障害」タイプの悩みに適しています。 スムーズな眠りのスイッチを入れるのが主な目的です。iHerbで特に表記がない製品の多くは、この速放性タイプに分類されます。
- 持続性(Time Release, Sustained Releaseなど):
- 特徴: 「タイムリリース」や「徐放性」とも呼ばれます。特殊なコーティングなどにより、成分が数時間かけてゆっくりと体内に放出されるように設計されています。
- どんな人向けか: 寝つきは問題ないが、夜中に何度も目が覚めてしまう、あるいは朝早くに目が覚めて二度寝できない、といった「中途覚醒」「早朝覚醒」タイプの悩みに適しています。 長時間にわたって安定した血中濃度を保つことで、睡眠の維持をサポートします。
自分の睡眠パターンをよく観察し、「いつ」困っているのかを明確にすることが、適切な作用時間のサプリを選ぶ鍵となります。もし入眠と睡眠維持の両方に課題がある場合は、二層式のタイムリリース製品(例:Natrol社の製品)などが有効な選択肢となるでしょう。
サプリに頼らず自力でメラトニンを増やす方法
メラトニンサプリは、睡眠の悩みを解決するための有効な選択肢の一つですが、あくまで対症療法的なアプローチです。根本的な改善を目指すには、自分自身の体内でメラトニンを十分に生成できるような生活習慣を整えることが最も重要です。
薬やサプリメントに頼る前に、またはサプリメントと並行して、ぜひ実践してほしい自然なメラトニン増加法を5つご紹介します。これらは、健康的な睡眠リズムを取り戻すための土台となる習慣です。
朝に太陽の光を浴びる
夜のメラトニン分泌の鍵を握っているのは、実は「朝の光」です。
私たちの体内時計は、朝、目から入る強い光(特に太陽光)を浴びることでリセットされます。光の刺激が脳に伝わると、メラトニンの分泌がピタッと止まり、体が覚醒モードに入ります。そして、このリセットの瞬間から約14~16時間後に、再びメラトニンが分泌されるようにタイマーがセットされるのです。
つまり、朝、決まった時間に太陽の光を浴びる習慣をつけることで、夜、自然と眠くなる時間が安定し、メラトニンの分泌リズムが整います。
- 実践のポイント:
- 起床後、できれば30分以内にカーテンを開け、15~30分ほど太陽の光を浴びましょう。
- ベランダや庭に出るのが理想ですが、窓際で過ごすだけでも効果があります。
- 通勤・通学時に意識的に少し歩くだけでも十分です。
- 曇りや雨の日でも、屋外の光は室内の照明よりずっと強いため、効果が期待できます。
日中に適度な運動をする
日中の適度な運動も、夜の快眠に繋がる重要な要素です。運動には主に2つの効果があります。
- セロトニンの分泌促進: ウォーキングやジョギング、ヨガなどのリズミカルな運動は、メラトニンの材料となる「セロトニン」の分泌を促します。日中にセロトニンを十分に作っておくことが、夜のメラトニン合成に直結します。
- 深部体温のメリハリ: 運動によって日中に体の中心部の温度(深部体温)を一時的に上げることで、夜にかけて体温が下がる際の落差が大きくなります。人は深部体温が下がる過程で眠気を感じるため、この体温のメリハリが、スムーズな入眠を助けてくれます。
- 実践のポイント:
- 激しい運動である必要はありません。少し汗ばむ程度の有酸素運動(早歩き、サイクリングなど)を1日30分程度行うのが効果的です。
- 運動のタイミングは、夕方(就寝の3~4時間前)が理想とされていますが、日中であればいつでも構いません。
- ただし、就寝直前の激しい運動は交感神経を刺激してしまい、逆に寝つきを悪くする可能性があるので避けましょう。
メラトニンの材料となるトリプトファンを摂取する
前述の通り、メラトニンは「トリプトファン」という必須アミノ酸から作られます。体内で生成できないため、日々の食事から意識的に摂取することが不可欠です。
特にトリプトファンを豊富に含む食材を、バランス良く食事に取り入れましょう。
バナナ
バナナはトリプトファンだけでなく、トリプトファンからセロトニンを合成する際に必要となるビタミンB6やマグネシウムも同時に摂取できる非常に優秀な食材です。手軽に食べられるので、朝食や間食におすすめです。
乳製品
牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品もトリプトファンの豊富な供給源です。特に、就寝前にホットミルクを飲むという昔ながらの習慣は、トリプトファンの摂取に加え、カルシウムの精神安定作用や、温かい飲み物によるリラックス効果も期待でき、科学的にも理にかなっています。
大豆製品
豆腐、納豆、味噌、豆乳などの大豆製品は、日本人の食生活に取り入れやすいトリプトファン豊富な食材です。植物性タンパク質も豊富で、健康的な食生活の基本となります。夕食に味噌汁や冷奴を一品加えるだけでも効果的です。
これらの他にも、赤身肉、魚(特にカツオやマグロ)、ナッツ類、卵などにもトリプトファンは多く含まれています。
就寝前のスマホやPC操作を控える
現代人にとって最も重要かつ、最も難しい課題がこれかもしれません。 スマートフォンやPC、タブレットの画面から発せられる「ブルーライト」は、太陽光に含まれる光と似ているため、脳を覚醒させ、メラトニンの分泌を強力に抑制してしまいます。
せっかく日中の習慣でメラトニン分泌の準備が整っても、就寝前にブルーライトを浴びてしまうと、すべてが台無しになりかねません。
- 実践のポイント:
- 理想は、就寝の1~2時間前にはスマホやPCの使用をやめることです。
- どうしても使用する必要がある場合は、画面の明るさを最低限に落とし、多くのデバイスに搭載されている「ナイトモード(ブルーライトカットモード)」を必ず利用しましょう。
- 寝室にはスマートフォンを持ち込まない「デジタル・デトックス」を試すのも非常に効果的です。
夜は部屋の照明を暖色系にする
光がメラトニン分泌を抑制するのは、ブルーライトだけではありません。強い光そのものが覚醒を促します。夜、帰宅してからも、日中と同じように煌々(こうこう)とした白色のシーリングライトの下で過ごしていると、体が「まだ昼だ」と勘違いしてしまい、メラトニンの分泌がスムーズに始まりません。
就寝に向けて、徐々に部屋の環境を「夜モード」に切り替えていくことが大切です。
- 実践のポイント:
- 就寝1~2時間前になったら、リビングなどのメインの照明を消し、暖色系(オレンジ色や電球色)の間接照明やフットライトに切り替えましょう。
- 光が直接目に入らないように、照明器具の配置を工夫するのも良い方法です。
- 読書をする際は、手元だけを照らす読書灯を利用するなど、部屋全体の照度を落とすことを意識します。
これらの生活習慣は、一つだけを実践するよりも、複数を組み合わせることで相乗効果が期待できます。サプリメントはあくまで補助的なツールと捉え、まずは体内時計を整えるこれらの基本的な習慣を見直すことから始めてみましょう。
メラトニンサプリに関するよくある質問
メラトニンサプリを試してみたいけれど、まだ疑問や不安が残っているという方も多いでしょう。ここでは、個人輸入でメラトニンを利用する際によく寄せられる質問とその回答をまとめました。正しい知識を持つことで、より安全にサプリメントを活用することができます。
飲んでからどのくらいで効果が現れますか?
A. 一般的には、摂取後30分から1時間ほどで効果が現れ始めるとされています。
メラトニンサプリは、服用後に消化・吸収され、血中に乗って脳に到達するまでに一定の時間がかかります。そのため、ベッドに入る直前に飲むよりも、就寝したい時間の30分~1時間前に摂取するのが最も効果的とされています。
ただし、効果が現れるまでの時間には個人差があります。また、サプリメントの形状によっても吸収速度は異なります。一般的に、舌下で溶かすタイプや液体タイプは吸収が速く、固形のタブレットやカプセルはそれよりも少し時間がかかると考えられます。自分の体感に合わせて、最適な摂取タイミングを見つけることが大切です。
毎日飲んでも大丈夫ですか?依存性はありますか?
A. 短期間の連用は比較的安全とされていますが、長期的な毎日の使用については慎重な意見もあります。依存性のリスクは低いと考えられています。
メラトニンは、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬などとは作用機序が異なり、身体的・精神的な依存性を形成するリスクは非常に低いとされています。薬をやめると眠れなくなるといった離脱症状も、基本的には起こらないと考えられています。
しかし、外部からメラトニンを長期間にわたって毎日摂取し続けると、体が本来持っているメラトニン産生能力が低下する(サボるようになる)のではないかという懸念も指摘されています。現時点では、長期連用の安全性に関する大規模で決定的なデータはまだ不足しています。
そのため、以下のような使い方をおすすめします。
- 漫然と毎日飲み続けない: まずは睡眠リズムが乱れている時や、時差ボケ対策など、必要な時だけ使用する「頓服(とんぷく)」的な使い方を試してみましょう。
- 休薬期間を設ける: もし継続的に使用する場合でも、週末は飲まないようにするなど、定期的に休薬期間を設けることで、体の自然なリズムを保つ助けになります。
- 3ヶ月以上続く場合は専門家に相談: 睡眠の悩みが長期にわたる場合は、背景に別の病気(睡眠時無呼吸症候群やうつ病など)が隠れている可能性もあります。自己判断でサプリを続けるのではなく、一度、睡眠専門の医療機関を受診することを検討してください。
子どもに飲ませても安全ですか?
A. 自己判断で子どもにメラトニンサプリを与えることは絶対に避けるべきです。
日本では、医師の診断と処方に基づき、小児の神経発達症に伴う入眠困難の治療薬として「メラトベル」が使用されています。これは、専門家による厳格な管理下で、治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ用いられるものです。
発達段階にある子どもがホルモン剤であるメラトニンを摂取した場合、思春期の発来や性的な発達にどのような影響を与えるかなど、長期的な安全性はまだ十分に確立されていません。
海外では子ども向けのグミタイプのメラトニンサプリも販売されていますが、安易に個人輸入して自分の子どもに与えるのは非常に危険な行為です。子どもの睡眠の問題については、必ず小児科医や専門の医療機関に相談してください。
他の睡眠薬やサプリメントと併用できますか?
A. 医薬品(特に睡眠薬や精神安定剤)との併用は、自己判断では絶対に行わないでください。
病院で処方される睡眠薬や抗不安薬とメラトニンを併用すると、作用が過剰に強まり、過度な鎮静、呼吸抑制、記憶障害などの深刻な副作用を引き起こす危険性があります。現在、何らかの医薬品を服用中の場合は、メラトニンサプリを使用する前に、必ず主治医または薬剤師に相談し、併用の可否を確認してください。
また、サプリメント同士の飲み合わせにも注意が必要です。例えば、リラックス効果を謳うセントジョーンズワートは、他の薬物の代謝に影響を与えることが知られており、メラトニンとの相互作用も懸念されます。他にも、バレリアンやGABAなど、睡眠をサポートするサプリは多数存在しますが、複数を同時に摂取することで予期せぬ影響が出る可能性もゼロではありません。併用する場合は、少量から試すなど慎重に行う必要があります。
日本への個人輸入で規制や注意点はありますか?
A. はい、数量制限などのルールがあります。
メラトニンサプリの個人輸入は合法ですが、厚生労働省によって定められたルールを守る必要があります。
- 数量制限: 医薬品の個人輸入は、「用法用量からみて1ヶ月分以内」が原則です。(参照:厚生労働省 医薬品等の個人輸入について)メラトニンサプリの場合、1瓶に60錠や90錠入っていることが多いですが、1日1錠の服用であれば、それぞれ2ヶ月分、3ヶ月分に相当します。税関の判断によっては、一度の注文で1ヶ月分を超える量を輸入しようとすると、個人使用の範囲を超えると見なされ、没収や返送の対象となる可能性があります。安全のため、一度の注文で1~2瓶程度に留めておくのが賢明です。
- 譲渡・販売の禁止: 個人輸入した製品を、友人や家族に分け与えたり、インターネットなどで転売したりする行為は、薬機法違反となり、厳しく罰せられます。 あくまで輸入した本人個人の使用に限られることを厳守してください。
これらのルールを理解し、自己責任の原則のもとで、適切に利用することが重要です。