睡眠導入剤デエビゴの効果と副作用|特徴や注意点を詳しく解説

睡眠導入剤デエビゴの効果と副作用、特徴や注意点を詳しく解説

不眠症は、現代社会において多くの人々が抱える深刻な悩みの一つです。寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、朝早くに目が覚めてしまうといった症状は、日中の集中力低下や倦怠感、気分の落ち込みなどを引き起こし、生活の質(QOL)を大きく損ないます。

このような不眠の悩みを解決するために、医療機関では睡眠導入剤(睡眠薬)が処方されることがあります。中でも「デエビゴ」は、これまでの睡眠薬とは異なる新しい作用機序を持つ薬として注目されています。

この記事では、睡眠導入剤デエビゴについて、その仕組みから効果、副作用、正しい飲み方、注意点まで、網羅的かつ分かりやすく解説します。不眠に悩んでいる方や、デエビゴによる治療を検討している方が、薬への理解を深め、安心して治療に臨むための一助となれば幸いです。

睡眠導入剤デエビゴとは

睡眠導入剤デエビゴとは

まずはじめに、デエビゴがどのような薬なのか、その基本的な特性と作用の仕組みについて詳しく見ていきましょう。デエビゴは、従来の睡眠薬が抱えていたいくつかの課題を克服することを目指して開発された、新しい世代の睡眠導入剤です。

デエビゴは新しいタイプの睡眠薬

デエビゴ(一般名:レンボレキサント)は、製薬企業であるエーザイ株式会社によって創製され、2020年に日本で製造販売が承認された比較的新しい睡眠導入剤です。この薬の最大の特徴は、「オレキシン受容体拮抗薬」という新しいクラスに分類される点にあります。

これまでの不眠症治療で中心的に用いられてきた睡眠薬の多くは、「ベンゾジアゼピン系」あるいは「非ベンゾジアゼピン系」と呼ばれるものでした。これらの薬は、脳内の神経伝達物質であるGABA(ガンマアミノ酪酸)の働きを強めることで、脳全体の活動を抑制し、強制的に眠気を引き起こす作用を持っていました。効果的に入眠を促す一方で、翌日への眠気の持ち越し、ふらつき、依存性の形成、急にやめた際の離脱症状(反跳性不眠など)といった課題も指摘されていました。

こうした背景から、より自然な睡眠を促し、かつ依存性などのリスクが少ない新しい睡眠薬の開発が求められてきました。そこで登場したのが、デエビゴをはじめとするオレキシン受容体拮抗薬です。デエビゴは、脳の機能を全般的に抑制するのではなく、覚醒を維持する特定の物質の働きをピンポイントで抑えることで、睡眠へと導きます。この作用の違いが、デエビゴの持つ「自然に近い眠り」や「依存性の低さ」といった多くのメリットにつながっています。つまり、デエビゴは不眠症治療における新たな選択肢として、これまでの薬では効果が不十分だったり、副作用に悩まされたりしていた患者さんにとって、大きな希望となる可能性を秘めているのです。

睡眠を促す仕組み(作用機序)

デエビゴがどのようにして眠りを促すのかを理解するためには、「オレキシン」という脳内物質の役割を知ることが不可欠です。

オレキシンとは、脳の視床下部という場所で産生される神経ペプチドで、私たちの脳を「覚醒」状態に保つための重要な役割を担っています。「起きている状態を維持するスイッチ」や「脳のアクセル」のようなものだと考えると分かりやすいでしょう。日中の活動時間帯にはオレキシンが活発に分泌されることで、私たちは注意力や集中力を保ち、活動的に過ごすことができます。そして、夜になり、体内時計からの指令や疲労の蓄積によってオレキシンの分泌が減少すると、脳は覚醒状態から睡眠状態へと移行していきます。

しかし、ストレス、不安、生活リズムの乱れなど、さまざまな原因によってこのオレキシンのシステムが過剰に働いてしまうことがあります。夜になってもオレキシンが活発なままだと、脳は覚醒のスイッチがオンになった状態が続き、なかなか寝付けない(入眠障害)、夜中に目が覚めてしまう(中途覚醒)といった不眠症状が現れるのです。これが、不眠症のメカニズムの一つと考えられています。

デエビゴは、この過剰に働いているオレキシンの働きをブロックすることで効果を発揮します。具体的には、脳内にあるオレキシンの受け皿である「オレキシン受容体(OX1RとOX2Rの2種類があります)」にオレキシンが結合するのを競合的に阻害します。これにより、オレキシンによる過剰な覚醒シグナルが神経細胞に伝わるのを防ぎ、興奮した脳を鎮静状態へと導きます。

重要なのは、デエビゴが脳の活動を無理やり止めるのではなく、覚醒を維持しようとする力を弱めることで、脳が自然に睡眠状態へ移行するのを手助けするという点です。これを「覚醒維持機構の抑制」と呼びます。この作用機序により、睡眠の生理的なリズムや構造を乱しにくく、より質の高い、自然な眠りがもたらされると期待されています。

デエビゴの3つの特徴

自然に近い眠りを誘う、寝つきと睡眠維持の両方に効果が期待できる、依存性が低く、やめやすい

デエビゴの新しい作用機序は、具体的な治療効果として3つの大きな特徴に結びついています。ここでは、デエビゴが持つ優れた点を「自然な眠り」「効果の範囲」「安全性」の観点から詳しく解説します。

① 自然に近い眠りを誘う

デエビゴの最も特筆すべき特徴は、生理的な睡眠に近い状態を導き出せることです。私たちの睡眠は、浅い眠りの「レム睡眠」と、深い眠りの「ノンレム睡眠」が約90分の周期で繰り返されることで構成されています。この睡眠サイクル、特に脳を休ませる深いノンレム睡眠と、記憶の整理や定着に関わるレム睡眠のバランスが、睡眠の質を決定づけます。

従来のベンゾジアゼピン系睡眠薬は、脳全体の活動を抑制するため、この自然な睡眠サイクルを変化させてしまうことがありました。例えば、深いノンレム睡眠の時間を短縮させたり、レム睡眠を抑制したりすることが知られています。その結果、睡眠時間は確保できても、朝起きた時に熟睡感が得られなかったり、日中の眠気が残ったりすることがありました。

一方、デエビゴは覚醒を司るオレキシン系に選択的に作用するため、睡眠と覚醒の切り替えをスムーズに行う手助けはしますが、睡眠そのものの構造(レム睡眠・ノンレム睡眠のバランス)への影響が少ないとされています。臨床試験においても、デエビゴはプラセボ(偽薬)と比較して、レム睡眠の割合を抑制しないことが示されています。(参照:デエビゴ錠 添付文書)

この「自然な眠り」を促す作用は、時に「悪夢」という副作用として現れることがあります。レム睡眠は夢を見る段階の睡眠であり、デエビゴがレム睡眠を抑制しにくいため、夢を鮮明に覚えやすくなることがあるのです。これは薬が正常に作用している証拠ともいえますが、もし悪夢が精神的な苦痛になるようであれば、医師に相談することが重要です。

このように、デエビゴは「無理やり眠らされる」という感覚ではなく、「脳の興奮が静まり、自然と眠りに落ちていく」という、より生理的なプロセスに近い形で不眠を改善します。

② 寝つきと睡眠維持の両方に効果が期待できる

不眠症の症状は、人によってさまざまです。布団に入ってもなかなか眠れない「入眠障害」、夜中に何度も目が覚めてしまう「中途覚醒」、朝の起きる時間よりもずっと早く目が覚めて二度寝できない「早朝覚醒」など、複数のタイプが存在し、これらが複合的に現れることも少なくありません。

デエビゴは、入眠障害と中途覚醒(睡眠維持障害)の両方に対して、バランス良く効果を発揮するように設計されています。この効果の背景には、薬の血中濃度がどのように変化するかを示す「薬物動態」が関係しています。

デエビゴは服用後、比較的速やかに体内に吸収され、血中濃度が上昇します。これにより、寝つきを良くする効果(入眠改善効果)が期待できます。そして、その後の血中濃度の半減期(薬の濃度が半分になるまでの時間)が約10時間(10mg服用時)と適切に設定されているため、夜間を通して効果が持続し、途中で目が覚めるのを防ぐ効果(睡眠維持効果)も発揮します。

実際に、国内外で行われた臨床試験では、デエビゴを服用した群はプラセボ群と比較して、客観的にも主観的にも、寝つくまでの時間(睡眠潜時)と夜中に目が覚めていた時間(中途覚醒時間)の両方が有意に短縮されたことが報告されています。(参照:デエビゴ錠 添付文書)

この「寝つき」と「睡眠の維持」という、不眠症における二大問題を同時にカバーできる点は、デエビゴの大きな強みです。一つの薬剤で夜間全体の睡眠の質を向上させられるため、患者さんの満足度向上にもつながります。

③ 依存性が低く、やめやすい

睡眠薬を服用する上で、多くの人が懸念するのが「依存」の問題です。「薬がないと眠れなくなるのではないか」「だんだん薬の量が増えてしまうのではないか」「やめるときに辛い症状が出るのではないか」といった不安は、治療への大きな障壁となり得ます。

この点において、デエビゴは従来の睡眠薬と比較して大きなアドバンテージを持っています。前述の通り、ベンゾジアゼピン系の薬はGABA受容体に作用し、多幸感や不安を和らげる効果も持つため、精神的な依存を形成しやすい傾向がありました。また、連用によって体が薬に慣れてしまう「耐性」が生じ、効果を得るためにより多くの量が必要になったり、急に中断すると不眠が悪化する「反跳性不眠」などの離脱症状が起こりやすかったりします。

対照的に、デエビゴが作用するオレキシン受容体は、依存形成に直接関わる報酬系(快感を感じる脳の回路)への影響が少ないと考えられています。そのため、精神的依存や身体的依存を形成するリスクが低いとされています。

臨床試験においても、デエビゴの長期投与による耐性の形成は認められず、服用を中止した際の離脱症状もプラセボ群と比較して大きな差は見られなかったことが報告されています。これは、デエビゴが「やめやすい薬」であることを示唆しており、不眠症の治療において非常に重要な特徴です。

ただし、依存性が全くゼロというわけではありません。いかなる睡眠薬も、漫然と使用を続ければ精神的に頼ってしまう可能性はあります。また、急な自己判断での中断は、不眠症状の一時的な悪化を招くことも考えられます。したがって、薬をやめる際には必ず医師の指導のもと、計画的に減量していくことが不可欠です。

デエビゴの主な効果

デエビゴの3つの特徴を踏まえた上で、具体的にどのような不眠症状に対して効果を発揮するのかをさらに詳しく見ていきましょう。デエビゴは、不眠症の中でも特に頻度の高い「入眠障害」と「中途覚醒」の改善に優れた効果を示します。

入眠障害(寝つきの悪さ)の改善

入眠障害とは、床に就いてから意図せず眠りにつくまでに、長い時間がかかってしまう状態を指します。一般的には、寝つくまでに30分から1時間以上かかり、そのことに対して本人が苦痛を感じている場合に診断されます。考え事が頭を駆け巡って眠れない、焦れば焦るほど目が冴えてしまう、といった経験は多くの人が持っているかもしれません。

この入眠障害の背景には、しばしばオレキシン系の過剰な活動が関わっています。ストレスや不安によって交感神経が優位になり、脳が覚醒モードから抜け出せなくなっている状態です。

デエビゴは、この過剰な覚醒システムのスイッチを切ることで、入眠をスムーズにサポートします。服用後、速やかに吸収されて効果を発揮し始めるため、脳の興奮を鎮め、自然な眠気を感じられるようになります。重要なのは、強制的に意識を失わせるのではなく、覚醒レベルを適切に下げることで、心身がリラックスし、眠る準備が整うのを助けるという点です。

臨床試験では、睡眠ポリグラフ検査(PSG)という客観的な脳波測定によって、デエビゴ服用群がプラセボ群に比べて寝つくまでの時間(入眠潜時)を有意に短縮したことが証明されています。さらに、患者さん自身が感じる「寝つくまでの時間(主観的入眠潜時)」も同様に短縮されており、客観的なデータと体感の両面で入眠改善効果が確認されているのが強みです。この効果により、「ベッドに入っても眠れない」という苦痛な時間が減少し、睡眠に対するネガティブなイメージを払拭する助けとなります。

中途覚醒・早朝覚醒(途中で起きる)の改善

中途覚醒は、睡眠中に何度も目が覚めてしまい、その後なかなか再入眠できない状態です。早朝覚醒は、自分が起きようと予定していた時刻より2時間以上も早く目が覚め、それ以降眠れなくなってしまう状態を指します。これらの症状は、睡眠の分断を引き起こし、熟睡感を著しく損なう原因となります。特に高齢になるにつれて睡眠が浅くなるため、中途覚醒や早朝覚醒の悩みは増加する傾向にあります。

デエビゴは、このような睡眠維持に関する問題にも優れた効果を発揮します。その理由は、薬の作用が夜間を通して安定して持続するためです。デエビゴの血中濃度半減期は、一晩の睡眠をカバーするのに十分な長さに設計されています。これにより、夜の後半にかけてもオレキシンの働きを適切に抑制し続け、深い睡眠を維持し、途中で覚醒してしまうのを防ぎます

臨床試験においても、デエビゴは「中途覚醒時間」を統計的に有意に短縮させることが示されています。つまり、夜中に目が覚めている合計時間が減ることで、睡眠の連続性が高まり、質の高い睡眠が得られるようになります。

早朝覚醒に対しても、朝方まで薬の効果が持続することで、意図しない早い時間の目覚めを抑制する効果が期待できます。ただし、効果が翌朝まで残ることで、眠気の持ち越しという副作用につながる可能性もあるため、用量の調整が重要になります。

このように、デエビゴは「入眠」から「睡眠維持」まで、夜間全体の睡眠プロセスをトータルでサポートすることで、断片的で質の低い睡眠を、連続的で回復感のある睡眠へと変える力を持っています。

デエビゴの副作用

どのような医薬品にも、主たる効果(主作用)だけでなく、望ましくない作用(副作用)が現れる可能性があります。デエビゴは比較的安全性の高い薬とされていますが、いくつかの副作用が報告されています。ここでは、よく見られる副作用から、注意すべき重大な副作用までを詳しく解説します。副作用について正しく理解し、万が一起こった場合でも冷静に対処できるように備えておくことが大切です。

よく見られる副作用

デエビゴの服用によって比較的起こりやすいとされる副作用には、以下のようなものがあります。これらの多くは軽度で一過性のものであり、薬に体が慣れてくると自然に軽減していくことも少なくありません。

副作用の種類 主な症状と原因
眠気(傾眠) 翌日への眠気の持ち越し。薬の作用が翌朝まで残ることが原因。
頭痛 原因は明確ではないが、比較的報告が多い副作用。
倦怠感 体のだるさや疲労感。眠気と関連して現れることが多い。
悪夢 鮮明な夢や、不快な内容の夢を見ること。レム睡眠への影響が少ないため。
浮動性めまい ふわふわするような感覚のめまい。

(参照:デエビゴ錠 添付文書)

翌日への眠気の持ち越し

デエビゴの副作用として最も報告頻度が高いのが、翌朝以降に続く眠気(傾眠)です。これは、夜間の睡眠を維持するために朝方まで持続する薬の効果が、翌日の活動時間帯まで残ってしまうために起こります。特に、薬の効果が切れにくい体質の方、必要以上の高用量を服用している場合、あるいは十分な睡眠時間(7時間以上が目安)を確保できなかった場合に現れやすくなります。

対策としては、まず医師に相談し、用量を調整してもらうことが基本です。デエビゴは2.5mg、5mg、10mgと用量の選択肢があるため、効果と副作用のバランスを見ながら最適な量を見つけることが可能です。また、服用する日は翌朝の運転や危険な作業を避ける、朝に太陽の光を浴びて体内時計をリセットする、軽い運動をするなどの生活上の工夫も有効です。

頭痛

頭痛も比較的よく見られる副作用の一つです。その発生メカニズムは明確には解明されていませんが、脳内の神経伝達物質のバランスが変化することなどが関与している可能性が考えられます。多くの場合、頭痛は軽度であり、服用を続けるうちに治まることが多いです。しかし、痛みが強い場合や、日常生活に支障をきたすほど続く場合には、我慢せずに医師や薬剤師に相談しましょう。

悪夢

デエビゴを服用中に「夢をよく見るようになった」「怖い夢を見るようになった」と感じることがあります。これは、前述の通り、デエビゴが夢を見る段階の睡眠である「レム睡眠」を抑制しにくいため、夢の内容を鮮明に記憶しやすくなるために起こると考えられています。

ある意味では、薬が自然な睡眠サイクルを保っている証拠とも言えますが、悪夢が頻繁に続くと精神的なストレスになることもあります。このような場合も、用量の調整などで改善することがあるため、一人で悩まずに主治医に伝えましょう。

体重増加は起こる?

睡眠薬の副作用として、体重増加を心配される方は少なくありません。デエビゴの有効成分であるレンボレキサントの作用標的であるオレキシンは、覚醒の調節だけでなく、食欲の調節にも関与していることが知られています。そのため、理論的には食欲が変化し、体重に影響を与える可能性は否定できません。

しかし、デエビゴの臨床試験や添付文書において、体重増加は頻度の高い副作用としては報告されていません。つまり、デエビゴの服用が直接的な原因で著しく太るというケースは稀であると考えられます。

むしろ、不眠が改善することによる間接的な影響が考えられます。例えば、慢性的な睡眠不足は食欲を増進させるホルモン(グレリン)を増やし、食欲を抑制するホルモン(レプチン)を減らすことが知られています。デエビゴによって睡眠が改善され、このホルモンバランスが正常化することで、食欲が安定し、結果的に体重が変化する(増えることも減ることもありうる)可能性はあります。

結論として、デエビゴの服用で過度に体重増加を心配する必要はありませんが、もし気になる体重の変化があった場合は、食生活の見直しとともに、医師に相談することをお勧めします。

注意すべき重大な副作用

頻度は非常に低いものの、万が一起こった場合に速やかな対処が必要となる重大な副作用も報告されています。以下の様な症状が現れた場合は、直ちに医師に連絡してください。

  • 過度な鎮静: 意識がもうろうとする、呼びかけに反応しにくいなど、薬が効きすぎている状態。
  • 睡眠麻痺(金縛り): 睡眠の移行期(入眠時や覚醒時)に、意識はあるのに体を動かせなくなる状態。
  • 入眠時幻覚・睡眠時随伴症(夢遊病様症状など): 眠りに落ちる際に現実にはないものが見えたり聞こえたりする、あるいは睡眠中に無意識に歩き回ったりするなどの異常行動。

これらの症状は、薬の作用が脳の睡眠と覚醒の切り替え部分に強く影響することで起こると考えられています。特に、服用後にすぐに就寝しなかった場合に起こりやすいとされています。このような症状を避けるためにも、デエビゴを服用したら、すぐにベッドに入り、他の活動はしないというルールを徹底することが極めて重要です。

デエビゴの正しい飲み方(用法・用量)

デエビゴの効果を最大限に引き出し、副作用のリスクを最小限に抑えるためには、医師の指示に従って正しく服用することが何よりも大切です。ここでは、用量の選び方から服用タイミングまで、基本的なルールを解説します。

用量の種類(2.5mg・5mg・10mg)と選び方

デエビゴには、有効成分レンボレキサントの含有量が異なる「デエビゴ錠2.5mg」「デエビゴ錠5mg」「デエビゴ錠10mg」の3種類があります。どの用量を選択するかは、患者さんの年齢、症状の重さ、体格、肝機能の状態、他の薬との併用などを考慮して、医師が総合的に判断します。

用量 主な対象・特徴
2.5mg 副作用が特に懸念される場合の開始用量。高齢者や、肝機能が中等度に低下している患者さんで推奨されることがあります。翌日の眠気などの副作用が強い場合に、この用量へ減量することもあります。
5mg 成人における標準的な開始用量です。多くの患者さんは、まずこの5mgから服用を開始し、効果と副作用のバランスを見ます。
10mg 1日あたりの最大用量です。5mgで効果が不十分と判断された場合に、増量が検討されます。効果は強まりますが、翌日の眠気などの副作用のリスクも高まる可能性があります。

治療は通常、1日1回5mgを就寝直前に服用することから始まります。その後、効果が足りなければ最大用量の10mgまで増量し、副作用が問題となる場合は2.5mgに減量するといった調整が行われます。

自己判断で用量を変更することは絶対に避けてください。「効かないから2錠飲んでみよう」「調子がいいから半分に割ってみよう」といった行為は、予期せぬ副作用や効果の不安定化を招く原因となり、非常に危険です。用量に関する希望や疑問がある場合は、必ず主治医に相談しましょう。

服用するタイミングと効果時間

デエビゴの服用方法で最も重要な点は、そのタイミングです。

  • 服用のタイミング: 必ず「就寝直前」に服用してください。「就寝直前」とは、ベッドに入り、スマートフォンを置き、電気を消して、あとは眠るだけという最後の段階を指します。服用後にテレビを見たり、本を読んだり、何か作業をしたりすると、薬が効き始めた状態で活動することになり、めまい、ふらつき、一時的な記憶障害(健忘)などを引き起こす危険性が高まります。
  • 効果の発現: 服用後、比較的速やかに効果が現れ始めます。個人差はありますが、30分程度で眠気を感じ始めることが多いようです。
  • 効果の持続時間: 薬の血中濃度が半分になる「半減期」は、5mg服用時で約11時間、10mg服用時で約10時間と報告されています。(参照:デエビゴ錠 添付文書)この持続時間により、夜間の睡眠を維持する効果が期待できます。
  • 睡眠時間の確保: 薬の効果が翌朝まで残る可能性があるため、服用後は少なくとも7時間程度の睡眠時間を確保できる状況で飲むことが推奨されます。夜中に起きて仕事をする必要があるなど、十分な睡眠時間が取れない日の服用は避けるべきです。
  • 飲み忘れた場合: 定められた時間に飲み忘れてしまった場合、途中で目が覚めてしまって眠れない時でも、起床までまだ十分な時間(例えば5時間以上)が残っているなら服用できることもあります。しかし、起床時間が近い場合に飲むと、日中に強い眠気が残ってしまい危険です。飲み忘れた際の対応については、事前に医師や薬剤師に確認しておくのが安心です。基本的には、その日は服用せず、翌日の就寝直前に1回分を服用するのが安全です。決して2回分を一度に飲んではいけません。

デエビゴを服用する際の注意点

食事との関係と影響、アルコール(お酒)との併用は禁止、運転など危険を伴う作業は避ける、服用が適さない人

デエビゴは効果的な薬ですが、安全に使用するためにはいくつかの重要な注意点があります。食事やアルコールとの関係、日常生活で気をつけるべきことなど、服用前に必ず理解しておくべき項目をまとめました。

食事との関係と影響

デエビゴの吸収は、食事、特に脂肪分の多い食事によって影響を受けます。食事と同時、あるいは食直後にデエビゴを服用すると、薬の吸収が遅れたり、吸収される量が減少したりして、効果の発現が遅れることがわかっています。

具体的には、高脂肪食(総カロリーの約50%が脂肪由来の食事)の後に服用した場合、薬の血中濃度が最高に達するまでの時間が約2時間遅延し、最高血中濃度も約23%低下したというデータがあります。(参照:デエビゴ錠 添付文書)

これは、寝つきを良くしたい(入眠障害を改善したい)という目的で服用している場合に、「いつものように飲んだのに、なかなか眠れない」という状況につながる可能性があります。

この影響を避けるためには、以下の点に注意すると良いでしょう。

  • できるだけ空腹時に服用する: 最も効果を安定させる方法は、空腹時に服用することです。
  • 食後に服用する場合: 就寝時間から逆算し、少なくとも2時間前には食事を済ませておくことが望ましいです。
  • 夕食の内容: 夕食が天ぷらやフライ、脂身の多い肉料理など、脂肪分の多いメニューだった日は、特に薬の吸収が遅れやすいことを念頭に置いておきましょう。

胃が弱いなどの理由で空腹時の服用が難しい場合は、医師に相談してください。

アルコール(お酒)との併用は禁止

デエビゴを服用している期間中、アルコール(お酒)を飲むことは絶対に避けてください。これは、デエビゴを服用する上で最も重要な注意点の一つです。

デエビゴもアルコールも、共に中枢神経系の働きを抑制する作用(鎮静作用)を持っています。この2つを同時に摂取すると、それぞれの作用が互いに強め合い、予期せぬ危険な状態を引き起こす可能性があります。

具体的には、以下のようなリスクが著しく高まります。

  • 過剰な眠気や鎮静: 意識が混濁したり、呼吸が抑制されたりする危険性があります。
  • 精神運動機能の低下: 判断力、集中力、運動能力が著しく低下し、ふらつきや転倒による怪我のリスクが非常に高くなります。
  • 記憶障害(健忘): 服用後から眠りにつくまでの間の記憶がなくなることがあります。

「寝酒」としてお酒を飲む習慣がある人もいますが、アルコールによる眠りは質が悪く、利尿作用で夜中に目が覚めやすくなるなど、長期的には不眠を悪化させます。不眠の悩みは、アルコールに頼らず、デエビゴのような適切な医療の力で解決することが大切です。飲酒した日は、デエビゴの服用を中止してください。

運転など危険を伴う作業は避ける

デエビゴを服用した後は、薬の効果によって眠気や注意力、集中力の低下が起こる可能性があります。この影響は翌朝以降にも持ち越されることがあるため、添付文書でも「本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること」と明確に記載されています。

たとえ自分では眠気を感じていなくても、認知機能や判断能力が低下している可能性は否定できません。一瞬の判断ミスが重大な事故につながる恐れがあるため、デエビゴを服用した翌日は、自動車の運転、高所での作業、危険な機械の操作などは絶対に行わないでください。

職業柄、日常的に運転が必要な方は、治療を開始する前に必ずその旨を医師に伝え、治療方針についてよく相談する必要があります。

服用が適さない人

デエビゴは全ての人に適した薬ではありません。以下に該当する方は、服用が禁止(禁忌)されていたり、特に慎重な投与が必要とされたりします。

  • 禁忌(服用してはいけない人):
    • デエビゴの成分(レンボレキサント)に対して過敏症(アレルギー)の既往歴がある人
    • 重度の肝機能障害のある患者: 肝臓で薬が代謝されるため、重い肝機能障害があると薬の血中濃度が異常に高くなり、副作用が強く出る危険性があります。
  • 慎重投与(服用に際して特に注意が必要な人):
    • 軽度~中等度の肝機能障害のある患者: 用量を2.5mgから開始するなど、慎重な投与が必要です。
    • 重度の腎機能障害のある患者: 臨床試験の経験が少なく、安全性が確立されていません。
    • 高齢者: 一般的に副作用が現れやすいため、低用量から開始することが推奨されます。
    • 脳に器質的障害のある患者: 作用が強く出ることがあります。
    • 呼吸機能が低下している患者(睡眠時無呼吸症候群など): 呼吸抑制を悪化させる可能性があるため、原則として治療の対象となりません。不眠の原因が睡眠時無呼吸症候群であることも多いため、いびきや無呼吸を指摘されている場合は、まずその検査を優先すべきです。
    • 妊娠中・授乳中の女性: 治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用されます。希望する場合は必ず医師に相談してください。

デエビゴのやめ方と離脱症状

睡眠薬治療におけるゴールは、薬に頼らなくても質の良い睡眠を維持できるようになることです。デエビゴは比較的やめやすい薬とされていますが、安全に中止するためには正しい知識と手順が必要です。

離脱症状は少ない?

従来のベンゾジアゼピン系睡眠薬で問題となりやすかったのが、「離脱症状」です。薬を急に中断した際に、不眠が以前よりひどくなる「反跳性不眠」や、不安、焦燥感、頭痛、吐き気といった心身の不快な症状が現れることがあります。

デエビゴは、作用機序の違いから、こうした身体的依存やそれに伴う離脱症状のリスクが低いことが大きな特徴です。臨床試験でも、デエビゴを中止した際の不眠の悪化や離脱症状は、プラセボ(偽薬)を中止した場合と比較して大きな差はなかったと報告されています。

しかし、「リスクが低い」ことと「全くない」ことは同義ではありません。特に長期間にわたって高用量を服用していた場合や、精神的に「薬がないと眠れない」という思い込みが強くなっている場合には、中止に伴って不安感や不眠の再発が見られることがあります。

この時、その症状が真の離脱症状なのか、あるいは治療によって抑えられていた元の不眠症が再び顔を出してきたのかを見極めることが重要です。いずれにせよ、自己判断での急な中断は避けるべきです。

安全にやめるための減薬方法

デエビゴの服用を中止する際は、必ず医師の指導のもとで、計画的に進める必要があります。安全にやめるための基本的な方法は「漸減法(ぜんげんほう)」です。

漸減法とは、服用している薬の量を、急にゼロにするのではなく、少しずつ段階的に減らしていく方法です。例えば、10mgを服用していた場合、まずは5mgに減らして一定期間様子を見ます。その後、さらに2.5mgに減らしたり、服用する日を隔日にしたり(一日おきに飲むなど)して、最終的に完全に中止します。

減薬のペースは、服用期間や用量、個人の体質、生活状況などによって大きく異なります。数週間でやめられる人もいれば、数ヶ月かけてゆっくりと進める人もいます。焦りは禁物です。「早くやめなければ」と気負うこと自体がストレスとなり、不眠を悪化させることもあります。医師と相談しながら、自分に合ったペースで無理なく進めることが成功の鍵です。

また、薬を減らすと同時に、薬以外の方法で睡眠をサポートする取り組みを強化することも非常に有効です。

  • 睡眠衛生の改善: 毎日同じ時刻に起床する、日中に適度な運動をする、寝る前のカフェインやスマートフォンの使用を避けるなど、睡眠に良い生活習慣を徹底します。
  • 認知行動療法(CBT-I): 不眠に対する誤った思い込みや考え方の癖を修正し、睡眠に関する不適切な行動を改善していく心理療法です。不眠症治療の第一選択として推奨されており、薬物療法と並行して行うことで、減薬・断薬の成功率を高めることができます。

薬をやめることに不安を感じるのは自然なことです。その不安も含めて主治医に伝え、二人三脚でゴールを目指していきましょう。

他の睡眠薬との比較

不眠症の治療薬には、デエビゴ以外にもさまざまな種類があります。ここでは、同じカテゴリーに属する「ベルソムラ」と、従来から使われている「ベンゾジアゼピン系睡眠薬」との違いを比較し、デエビゴの位置づけをより明確にします。

ベルソムラとの違い

ベルソムラ(一般名:スボレキサント)は、デエビゴと同じ「オレキシン受容体拮抗薬」に分類される薬です。日本で2014年に承認され、デエビゴよりも先に登場しました。作用機序は同じですが、いくつかの点で違いがあります。

項目 デエビゴ(レンボレキサント) ベルソムラ(スボレキサント)
作用機序 オレキシン受容体拮抗薬 オレキシン受容体拮抗薬
承認年 2020年 2014年
用量(mg) 2.5, 5, 10 15, 20(高齢者は10, 15)
半減期 約10時間 (10mg) 約12時間 (20mg)
食事の影響 あり(吸収が遅延) あり(吸収が遅延)
特徴 入眠と睡眠維持の両方にバランス良く作用。薬物動態が比較的シンプル。 比較的半減期が長く、特に睡眠維持効果に優れるとされる。高齢者用の用量が別に設定されている。

両者の最も大きな違いは、薬物動態、特に半減期にあります。ベルソムラの方がやや半減期が長く、より睡眠維持効果に重きを置いた薬剤と位置づけられることがあります。一方、デエビゴは入眠と睡眠維持の両方にバランスよく作用することが特徴です。

どちらの薬が適しているかは、患者さんの不眠のタイプ(寝つきが悪いのか、途中で起きるのが問題なのか)、年齢、体質などによって異なります。例えば、入眠に強い困難がある場合はデエビゴが、夜中の覚醒が主たる悩みの場合はベルソムラが選択されるなど、医師が個々の症例に応じて使い分けを判断します。

従来の睡眠薬(ベンゾジアゼピン系)との違い

デエビゴと、ハルシオン(トリアゾラム)やマイスリー(ゾルピデム、※)に代表される従来の睡眠薬との違いは、より根本的な作用機序のレベルにあります。この違いが、効果の質や安全性に大きく影響します。
(※マイスリーは非ベンゾジアゼピン系に分類されますが、作用機序はベンゾジアゼピン系と類似しています)

項目 デエビゴ(オレキシン受容体拮抗薬) 従来の睡眠薬(ベンゾジアゼピン系など)
作用機序 覚醒を司る「オレキシン」をブロックし、自然な眠りを導く。 脳の活動を全体的に抑制する「GABA受容体」に作用し、強制的に眠気を引き起こす。
睡眠の質 自然な睡眠に近い。生理的な睡眠サイクル(レム・ノンレム睡眠)を乱しにくい。 睡眠サイクルを変化させることがある(深い睡眠が減る、レム睡眠が抑制されるなど)。
依存性・耐性 比較的少ない。依存形成のリスクが低く、長期使用でも効果が落ちにくい。 形成しやすい。連用により精神的・身体的依存や耐性が生じるリスクがある。
離脱症状 比較的少ない。中止時の反跳性不眠などが起こりにくい。 起こりやすい。急な中断で不眠の悪化や様々な離脱症状をきたすことがある。
主な副作用 眠気の持ち越し、頭痛、悪夢など。 ふらつき、筋弛緩作用、もうろう状態、健忘(記憶障害)、依存など。

このように比較すると、デエビゴは従来の睡眠薬が抱えていた「依存性」「耐性」「離脱症状」「睡眠の質への影響」といった課題を克服することを目指して開発されたことがよく分かります。特に、転倒のリスクにつながる筋弛緩作用がほとんどない点は、高齢者の不眠症治療において大きなメリットとなります。

デエビゴの登場により、不眠症治療は新たな時代を迎えました。これにより、患者さんはより安全で、かつ質の高い睡眠を目指せる選択肢を手に入れたといえるでしょう。

デエビゴに関するよくある質問

薬の値段(薬価)はいくら?、ジェネリック医薬品はある?、市販薬として薬局で買える?

ここでは、デエビゴに関して患者さんからよく寄せられる質問について、Q&A形式でお答えします。

薬の値段(薬価)はいくら?

デエビゴの薬価(国が定めた公定価格)は、以下の通りです。(2024年4月時点の薬価)

  • デエビゴ錠2.5mg:57.10円/錠
  • デエビゴ錠5mg:91.40円/錠
  • デエビゴ錠10mg:130.60円/錠

(参照:各種医薬品添付文書情報)

実際に患者さんが窓口で支払う自己負担額は、この薬価に、ご自身の医療保険の負担割合(通常は3割)を掛けた金額になります。例えば、デエビゴ錠5mgを30日分処方された場合の薬代の自己負担額は以下のようになります。

計算例: 91.40円 × 30錠 × 0.3(3割負担) = 822.6円

この金額に加えて、診察料(初診料・再診料)や処方箋料、調剤薬局での調剤基本料などが別途必要になります。薬価は定期的に改定されるため、最新の情報は医療機関や薬局でご確認ください。

ジェネリック医薬品はある?

ジェネリック医薬品(後発医薬品)は、先発医薬品の特許期間が満了した後に、他の製薬会社が製造・販売する、同じ有効成分を含んだ価格の安い医薬品です。

デエビゴは2020年に発売された比較的新しい薬であり、2024年6月現在、まだ特許期間中であるため、ジェネリック医薬品は販売されていません。

将来的に特許が切れれば、より安価な「レンボレキサント錠」が各社から発売される可能性がありますが、それにはまだ数年の期間が必要となる見込みです。

市販薬として薬局で買える?

デエビゴは、医師の診断と処方箋が必要な「処方箋医薬品」です。そのため、ドラッグストアや薬局で市販薬として直接購入することはできません。

ドラッグストアなどで販売されている睡眠改善薬(例:ドリエルなど)は、医療用の睡眠薬とは全く異なる成分でできています。これらの市販薬の主成分は「ジフェンヒドラミン塩酸塩」という抗ヒスタミン薬で、風邪薬や鼻炎薬の副作用である「眠気」を応用したものです。

市販の睡眠改善薬は、環境の変化などによる一時的な不眠に対しては有効な場合がありますが、慢性的な不眠症に対する効果は限定的です。作用機序もデエビゴとは全く異なり、翌日への眠気の持ち越しや口の渇きといった副作用が出やすいこともあります。

2週間以上続くような慢性的な不眠に悩んでいる場合は、自己判断で市販薬を使い続けず、必ず医療機関を受診してください。不眠の原因を正確に診断してもらい、デエビゴのような適切な処方薬による治療を受けることが、根本的な解決への近道です。

まとめ

この記事では、新しいタイプの睡眠導入剤であるデエビゴについて、その作用の仕組みから特徴、効果、副作用、正しい使い方、他の薬との比較まで、多角的に詳しく解説しました。

最後に、本記事の要点をまとめます。

  • デエビゴは、覚醒を維持する脳内物質「オレキシン」の働きをブロックすることで、脳を過剰な覚醒状態から解放し、自然な眠りへと導く「オレキシン受容体拮抗薬」です。
  • 主な特徴として、①生理的な睡眠に近い質の高い眠りを促す、②寝つきの悪さと夜中に目が覚める症状の両方に効果が期待できる、③従来の睡眠薬に比べて依存性や離脱症状のリスクが低い、という3点が挙げられます。
  • 副作用として最も多いのは翌日への眠気の持ち越しですが、用量の調整などで対応が可能です。一方で、アルコールとの併用は絶対に禁止、服用後の運転も避けるなど、守るべき重要な注意点があります。
  • 服用や中止にあたっては、自己判断は絶対にせず、必ず医師の指示に従い、計画的に行うことが安全な治療の鍵となります。
  • デエビゴは医師の処方が必要な医療用医薬品であり、市販はされていません。

不眠症は、単に「眠れない」というだけでなく、日中のパフォーマンスを低下させ、心身の健康を蝕む、治療が必要な病気です。もしあなたが不眠に悩んでいるなら、一人で抱え込まず、専門の医療機関に相談することから始めてみてください。デエビゴをはじめとする新しい治療の選択肢は、あなたの「ぐっすり眠れる毎日」を取り戻すための、力強い味方となってくれるはずです。