現代社会は、仕事や人間関係、情報過多など、さまざまな要因によってストレスが蓄積しやすい環境です。それに伴い、「夜ぐっすり眠れない」「日中のストレスを和らげたい」「大切な場面で集中力を維持したい」といった悩みを抱える人が増えています。そんな悩みに寄り添う成分として注目を集めているのが「テアニン」です。
テアニンはお茶に含まれるアミノ酸の一種で、古くから日本人の生活に馴染み深い成分です。近年、その機能性に関する研究が進み、睡眠の質向上やストレス緩和などに役立つことが科学的に報告されています。その結果、テアニンを手軽に摂取できるサプリメントが数多く登場し、多くの人々の健康維持に貢献しています。
しかし、いざテアニンサプリを選ぼうとしても、「どの製品を選べばいいのか分からない」「本当に効果があるのか不安」「副作用はないのか」といった疑問や不安を感じる方も少なくないでしょう。
この記事では、テアニンサプリの購入を検討している方や、その効果について詳しく知りたい方に向けて、以下の内容を網羅的に解説します。
- テアニンとは何か、その基本的な特徴と働き
- テアニンに期待できる3つの主な効果(睡眠・ストレス・集中力)
- 失敗しないテアニンサプリの選び方(含有量・成分・品質など)
- 目的別おすすめのテアニンサプリ15選
- 効果を最大化する飲み方とタイミング
- 知っておくべき副作用や注意点
- テアニンを豊富に含む食品
この記事を最後まで読めば、テアニンに関する正しい知識が身につき、数ある製品の中から自分に最適なサプリメントを見つけることができるようになります。ぜひ、あなたの健やかな毎日をサポートする一助としてご活用ください。
目次
テアニンとは
テアニンとは、緑茶や紅茶、ウーロン茶など、チャノキ(Camellia sinensis)の葉に含まれるアミノ酸の一種です。特に、日光を遮って栽培される玉露や抹茶などの高級茶に豊富に含まれており、お茶特有の「うま味」や「甘み」の元となる成分として知られています。私たち日本人がお茶を飲んだときに感じる、心安らぐほっとした感覚には、このテアニンが深く関わっています。
テアニンの発見は意外と新しく、1950年に京都府茶業研究所(現在の農林水産省野菜茶業研究所)の研究者によって玉露から発見されました。化学構造的には、うま味成分として有名なグルタミン酸に似た構造を持っています。この構造的な類似性が、テアニンのユニークな機能性の鍵を握っています。
テアニンの最大の特徴の一つは、脳の関所ともいえる「血液脳関門」を通過できる点にあります。摂取されたテアニンは、腸から吸収されて血流に乗り、脳に直接到達してさまざまな働きをします。脳に到達したテアニンは、興奮性の神経伝達物質であるグルタミン酸の働きを抑制する一方で、リラックスに関わる神経伝達物質(セロトニンやGABAなど)の濃度を変化させると考えられています。
この作用により、テアニンは脳内でリラックス状態の指標とされる「α波(アルファ波)」の発生を促進することが研究で明らかになっています。α波は、心が落ち着いていて、かつ集中している状態の時に多く発生する脳波です。目を閉じてリラックスしている時や、何かに静かに集中している時にこの状態になります。テアニンを摂取することで、過度な興奮を鎮め、心身を穏やかな状態へと導く手助けをしてくれるのです。
また、お茶には覚醒作用のあるカフェインも含まれていますが、テアニンにはこのカフェインによる興奮作用を穏やかにする働きがあることも知られています。お茶を飲むと、コーヒーのように急激な覚醒感ではなく、穏やかにスッキリする感覚が得られるのは、このテアニンとカフェインの絶妙なバランスによるものと考えられます。
現代社会においてテアニンがこれほどまでに注目される背景には、ストレスの増大や睡眠に関する問題が深刻化していることがあります。多くの人が日々のプレッシャーや不安に晒され、心身の休息を十分に取れていないのが現状です。このような状況下で、医薬品に頼る前に、まずは食品由来の成分でセルフケアを試みたいと考える人が増えています。テアニンは、お茶という身近な食品に含まれる安全性の高い成分でありながら、科学的にその機能性が報告されているため、多くの人にとって魅力的な選択肢となっているのです。
サプリメントとして利用されるテアニンは、化学構造によって「L-テアニン」と表記されることがほとんどです。これは、自然界に存在するテアニンのほとんどがL体と呼ばれる光学異性体であるためで、一般的に「テアニン」という場合、この「L-テアニン」を指します。
テアニンサプリに期待できる主な3つの効果
テアニンは、そのユニークな働きから、私たちの心と体にさまざまな良い影響をもたらす可能性が報告されています。特に、機能性表示食品として消費者庁に届け出られている機能性には、「睡眠の質の向上」「ストレスの緩和」「集中力の維持」の3つが挙げられます。ここでは、それぞれの効果について、そのメカニズムや具体的な内容を詳しく解説します。
睡眠の質を向上させる
現代人の多くが抱える悩みのひとつに「睡眠」の問題があります。「寝つきが悪い」「夜中に何度も目が覚める」「たくさん寝たはずなのに朝起きると疲れが取れていない」といった経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。テアニンは、このような睡眠の悩みにアプローチし、睡眠の質をすこやかに改善する機能が報告されています。
テアニンが睡眠の質を向上させる主なメカニズムは、前述した「α波」の増加によるリラックス効果です。私たちは、日中の活動やストレスによって交感神経が優位になり、心身が興奮・緊張状態になりがちです。この状態が夜まで続くと、スムーズな入眠が妨げられ、眠りが浅くなる原因となります。
テアニンを就寝前に摂取すると、脳内のα波が増加し、心身がリラックスした状態、つまり副交感神経が優位な状態へと切り替わるのをサポートします。これにより、布団に入ってから眠りにつくまでの時間(入眠潜時)が短縮され、寝つきが良くなる効果が期待できます。
さらに、テアニンは睡眠中の覚醒を減らすことにも寄与します。深いリラックス状態は、夜中の些細な物音や体の動きによる中途覚醒を減少させ、朝までぐっすりと眠り続ける手助けとなります。
そして、テアニンによる睡眠の質の改善で特に注目されているのが、「起床時の疲労感の軽減」と「眠気の軽減」です。質の高い睡眠がとれると、体と脳がしっかりと休息・回復するため、翌朝、爽快な気分で目覚めることができます。これは、睡眠薬のように強制的に眠らせるのではなく、あくまで自然な眠りをサポートするテアニンならではの穏やかな作用によるものです。
実際に、機能性表示食品として届けられている製品の多くは、「L-テアニンには、睡眠の質をすこやかに改善する(起床時の疲労感を軽減する)機能があることが報告されています」といった表示がされています。
例えば、毎日の仕事のプレッシャーで頭が冴えてしまい、ベッドに入ってもなかなか寝付けないビジネスパーソンや、育児や家事で神経が高ぶり、夜中に何度も起きてしまう方がテアニンを摂取することで、穏やかな気持ちで眠りにつき、朝のスッキリとした目覚めを実感できるかもしれません。
ストレスを和らげる
ストレスは万病の元と言われるように、心身の健康にさまざまな悪影響を及ぼします。特に、プレゼンテーションや試験、重要な会議といった特定の状況下で感じる一時的な精神的ストレスは、パフォーマンスの低下や心身の不調につながりかねません。テアニンには、このような一過性の作業にともなうストレスをやわらげる機能が報告されています。
ストレスを感じると、私たちの体は「闘争・逃走反応」と呼ばれる状態に入り、交感神経が活発になります。心拍数が上がり、血圧が上昇し、筋肉がこわばるなど、心身が緊張状態に陥ります。テアニンは、この交感神経の過剰な興奮を抑制し、リラックス状態へと導くことで、ストレス反応を緩和します。
具体的には、テアニンが脳に到達すると、興奮性の神経伝達物質であるグルタミン酸が受容体に結合するのを阻害する作用があると考えられています。これにより、神経の過剰な興奮が抑えられます。同時に、抑制系の神経伝達物質であるGABA(ギャバ)の産生を促進する可能性も示唆されており、心身を落ち着かせる方向に働きます。
この効果は、心理的なアンケートだけでなく、唾液中のストレスマーカー(コルチゾールなど)や心拍数の変化といった生理学的な指標でも確認されています。
例えば、人前で話すのが苦手な人が、大事なプレゼンの1時間ほど前にテアニンを摂取するケースを考えてみましょう。摂取することで、過度なドキドキ感や手の震えといった身体的な緊張が和らぎ、落ち着いて話に集中できるようになるかもしれません。また、デスクワーク中に次々と舞い込むタスクや急な電話対応でイライラしがちな人が、日中にテアニンを摂取することで、気持ちに余裕が生まれ、冷静に物事を処理できるようになる手助けとなることも期待できます。
重要なのは、テアニンがもたらすのが「リラックス効果」でありながら、眠気を誘発しにくいという点です。これは、日中の活動パフォーマンスを落とさずにストレスケアを行いたい人々にとって、非常に大きなメリットと言えるでしょう。このため、テアニンは日中のストレス対策としても非常に有用な成分なのです。
集中力を維持する
高い集中力は、勉強や仕事の効率を上げるために不可欠な要素です。しかし、長時間の作業や周囲の雑音、内的な不安など、私たちの集中力を妨げる要因は数多く存在します。「大事な作業なのに、すぐに他のことに気を取られてしまう」「単純作業を続けていると注意力が散漫になる」といった悩みは、多くの人が経験するところでしょう。
テアニンには、このような状況において、認知機能の一部である注意力(作業時における一時的な注意力を維持する精度)を高める機能があることが報告されています。この効果は、前述の「リラックス効果」と密接に関連しています。
一般的に、「集中」と「リラックス」は相反するものだと思われがちです。しかし、最高のパフォーマンスが発揮されるのは、過度な緊張も過度な弛緩もない、「リラックスしつつも覚醒している」状態、いわゆる「ゾーン」や「フロー」と呼ばれる状態です。この時、脳内ではα波が優位になっています。
テアニンは、まさにこのα波を誘発することで、集中に最適な脳の状態を作り出すサポートをします。不要な雑念や不安による脳のノイズを減らし、目の前のタスクに意識を向けやすくするのです。過剰な興奮による焦りやイライラを抑え、冷静でクリアな思考を保つ手助けをします。
特に、テアニンはカフェインと組み合わせることで、その効果がより顕著になることが研究で示唆されています。カフェインには眠気を覚まし、覚醒レベルを高める働きがありますが、摂りすぎると不安感や焦燥感、手の震え(ジッター)といった副作用を引き起こすことがあります。テアニンは、このカフェインのネガティブな側面を緩和しつつ、ポジティブな覚醒作用や注意力向上効果を高める相乗効果が期待できるのです。これは「スマートカフェイン」とも呼ばれ、生産性を高めたいと考える人々の間で注目されています。
緑茶にカフェインとテアニンの両方が含まれているのは、まさに自然が生み出した絶妙な組み合わせと言えるでしょう。
例えば、資格試験の勉強で長時間の集中が求められる学生や、複雑なデータ分析を行う必要がある社会人がテアニンサプリを活用することで、注意力の持続時間が長くなり、ケアレスミスが減少するなど、学習効率や作業品質の向上が期待できます。眠気を伴わずに穏やかな集中状態へと導いてくれるため、日中のパフォーマンスを最大限に引き出したい場面で、非常に頼りになる成分です。
失敗しないテアニンサプリの選び方
テアニンサプリの効果を実感するためには、自分に合った製品を正しく選ぶことが非常に重要です。市場には多種多様なサプリメントが出回っており、価格や成分もさまざまです。ここでは、後悔しないテアニンサプリ選びのために、チェックすべき5つの重要なポイントを解説します。
テアニンの含有量で選ぶ
サプリメント選びの最も基本的なポイントは、目的の成分がどれだけ含まれているか、つまり「含有量」を確認することです。テアニンの場合、多くの機能性表示食品で機能性が報告されている1日あたりの摂取目安量は「200mg」です。
- 睡眠の質の向上
- 一過性の作業に伴うストレスの緩和
- 注意力の維持
これらの効果を期待するのであれば、まずは1日あたりL-テアニンが200mg摂取できる製品を基準に選ぶのがおすすめです。製品のパッケージ裏面にある「栄養成分表示」や「機能性関与成分」の欄を確認し、「L-テアニン 200mg」といった記載があるかチェックしましょう。「1日摂取目安量あたり」の含有量であるかを確認することも大切です。
製品によっては、100mgや50mgといった低用量のものもあります。これらは、日中に軽いリラックス効果を得たい場合や、他の成分との組み合わせを重視している製品、あるいはテアニンに対する感受性が高い人向けと言えるかもしれません。しかし、明確な体感を求めるのであれば、200mgを目安にするのが賢明です。
逆に、200mgを超える高含有量の製品も存在しますが、含有量が多ければ多いほど効果が高まるというわけではありません。まずは基準となる200mgから試してみて、ご自身の体調や目的に合わせて調整していくのが良いでしょう。何よりもまず、製品が推奨する1日の摂取目安量を守ることが大前提です。
テアニン以外のサポート成分で選ぶ
テアニンサプリの中には、テアニン単体の製品だけでなく、他の成分を組み合わせることで、より特定の悩みに特化した効果を狙った製品も数多くあります。自分の目的に合ったサポート成分が配合されているかどうかも、重要な選択基準となります。
目的 | おすすめのサポート成分 | 主な働き |
---|---|---|
睡眠の質をさらに高めたい | グリシン、GABA(ギャバ)、ラフマ葉抽出物、カモミール、バレリアン、クワンソウ | グリシンは深部体温を下げ、GABAは興奮を鎮めるなど、それぞれが異なるアプローチで安らかな眠りをサポートします。 |
日中のストレス対策を強化したい | セントジョーンズワート、パッションフラワー、ビタミンB群、マグネシウム | ビタミンB群やマグネシウムは、ストレスによって消費されやすい栄養素。神経系の働きを正常に保つために役立ちます。 |
疲労回復やパフォーマンス向上 | クエン酸、オルニチン、アルギニン、ビタミン類、セサミン、クロセチン | オルニチンやクロセチンは起床時の疲労感軽減を、アスリート向けの製品ではアミノ酸が筋肉の回復をサポートします。 |
例えば、「とにかく深く眠りたい」という方は、テアニンに加えてグリシンやGABAが豊富に配合された製品を選ぶと、相乗効果が期待できるかもしれません。「日中のストレスだけでなく、慢性的な疲労感も気になる」という方は、ビタミンB群や回復系アミノ酸が配合された製品が適しているでしょう。
このように、自分の最も解決したい悩みに合わせて、テアニン以外の成分にも注目することで、より満足度の高いサプリ選びが可能になります。ただし、成分が増えれば価格も高くなる傾向があるため、本当に自分に必要な成分かを見極めることが大切です。
機能性表示食品かどうかで選ぶ
サプリメントの品質や信頼性を判断する上で、非常に分かりやすい指標となるのが「機能性表示食品」であるかどうかです。
機能性表示食品とは、「事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品」のことです。製品を販売する企業が、その製品に含まれる成分(機能性関与成分)が健康の維持及び増進に役立つという科学的根拠(臨床試験の論文など)を、販売前に消費者庁長官に届け出ることで、特定の機能性をパッケージに表示することが許可されます。
テアニンサプリの場合、「睡眠の質をすこやかに改善する」「一過性の作業にともなうストレスをやわらげる」といった表示がこれにあたります。
機能性表示食品を選ぶメリットは、表示されている効果について、一定レベルの科学的根拠が担保されているという安心感です。企業が自社の責任でエビデンスを提出しているため、根拠の曖昧な「個人の感想」レベルの謳い文句とは一線を画します。
パッケージに「機能性表示食品」という文字と「届出番号(例:G123)」が記載されているかを確認しましょう。この届出番号を消費者庁のウェブサイトで検索すれば、その製品がどのような科学的根拠に基づいて機能性を表示しているのかを誰でも確認できます。
もちろん、機能性表示食品でないサプリが劣っているというわけではありません。しかし、特にサプリメント初心者の場合や、効果の信頼性を重視したい場合には、まず機能性表示食品の中から選ぶことを強くおすすめします。
飲みやすい形状や続けやすい価格で選ぶ
サプリメントは医薬品とは異なり、即効性を期待するものではなく、ある程度の期間、継続して摂取することで効果を実感しやすくなります。そのため、「続けやすさ」は非常に重要な要素です。続けやすさは、主に「形状」と「価格」によって決まります。
【形状の種類と特徴】
- カプセル/タブレット(錠剤): 最も一般的で、成分の匂いや味を感じにくいのがメリットです。量を調整しやすく、持ち運びにも便利です。粒の大きさが製品によって異なるため、喉が細い方は小粒のものを選ぶと良いでしょう。
- 粉末(パウダー): 水やジュースに溶かして飲むタイプ。吸収が速いとされています。量の微調整がしやすい一方で、味や匂いが気になる場合や、溶かす手間がかかるというデメリットもあります。
- グミ: おやつのように手軽に、水なしで摂取できるのが最大の魅力です。美味しく続けやすいですが、糖分が含まれている場合が多く、含有量が錠剤タイプに比べて少ない傾向があります。
- ドリンク: 飲むだけで手軽に摂取できますが、コストが高くなりがちで、保存や持ち運びには不便な側面もあります。
自分のライフスタイルや好みに合わせて、最もストレスなく続けられる形状を選びましょう。
【続けやすい価格】
価格も継続のためには無視できないポイントです。製品の価格だけでなく、「1日あたりのコスト」を計算して比較検討することが賢明です。例えば、90粒入りで3,000円の製品(1日3粒目安)は、1日あたり100円となります。
一般的に、テアニン単体のシンプルな製品は安価で、多様なサポート成分が配合されていたり、特殊な製法で作られていたりする製品は高価になる傾向があります。まずは1ヶ月程度試せる価格帯の製品から始めてみて、効果を実感できれば定期購入などを利用してコストを抑えるのも良い方法です。無理なく続けられる価格帯であることが、最終的に効果を実感するための鍵となります。
GMP認定工場で製造されているかチェックする
サプリメントは毎日口にするものだからこそ、「安全性」や「品質」は絶対に妥協したくないポイントです。その品質を担保する客観的な指標のひとつが「GMP(Good Manufacturing Practice)」認定です。
GMPとは、日本語で「適正製造規範」と訳され、原材料の受け入れから製造、最終製品の出荷に至るまでの全工程において、製品が「安全」に作られ、「一定の品質」が保たれるようにするための製造工程管理基準です。医薬品の世界では製造にGMPが義務付けられていますが、健康食品(サプリメント)では任意となっています。
GMP認定工場で製造された製品を選ぶメリットは、以下のような点です。
- 表示通りの成分が、表示通りの量だけきちんと含まれている。
- 有害な物質や汚染物質が混入していない。
- ロットごとに品質のばらつきが少ない。
つまり、GMP認定は「高品質で安全な製品であることの証」と言えます。
製品のパッケージや公式サイトに「GMP認定工場製造」といった表記や、GMPマークがあるかどうかを確認しましょう。特に海外製品の場合、cGMP(current GMP)という米国のより厳格な基準をクリアしている製品もあり、品質にこだわりたい方にはおすすめです。価格が少し高くても、毎日安心して飲み続けるためには、GMP認定の有無は非常に重要なチェックポイントです。
テアニンサプリのおすすめ15選
ここからは、前述した「選び方のポイント」を踏まえ、数あるテアニンサプリの中から厳選したおすすめの15製品をご紹介します。各製品のテアニン含有量、サポート成分、機能性表示食品の有無、形状などを比較し、ご自身の目的やライフスタイルに合ったサプリを見つけるための参考にしてください。
製品名 | メーカー | テアニン含有量(/日) | その他の主な成分 | 機能性表示食品 | 形状 |
---|---|---|---|---|---|
① DHC ゆったり | DHC | 200mg | メリッサエキス | ○ | カプセル |
② ファイン グリシン3000&テアニン200 | ファイン | 200mg | グリシン、GABA | – | 粉末 |
③ マイプロテイン GABA & L-THEANINE | マイプロテイン | 200mg | GABA | – | カプセル |
④ ananaple リラクミン | ananaple | 100mg | クワンソウ、GABA、グリシン等 | – | タブレット |
⑤ UHA味覚糖 UHAグミサプリ 休息モード | UHA味覚糖 | 100mg | カモミールエキス | – | グミ |
⑥ アサヒ ディアナチュラゴールド L-テアニン | アサヒグループ食品 | 200mg | – | ○ | タブレット |
⑦ サントリーウエルネス セサミンEX | サントリーウエルネス | – | セサミン、ビタミンE、トコトリエノール | – | ソフトカプセル |
⑧ 大塚製薬 ネイチャーメイド L-テアニン | 大塚製薬 | 200mg | – | ○ | タブレット |
⑨ グリコ パワープロダクション エキストラ アミノアシッド テアニン | 江崎グリコ | 200mg | アルギニン、オルニチン、マグネシウム等 | – | タブレット |
⑩ Now Foods L-テアニン | Now Foods | 200mg | イノシトール | – | カプセル |
⑪ キリン iMUSE 睡眠&ストレスケア | キリンホールディングス | 200mg | プラズマ乳酸菌 | ○ | タブレット |
⑫ ファンケル 睡眠&疲労感ケア | ファンケル | 200mg | L-オルニチン、クロセチン | ○ | タブレット |
⑬ ヘルシーワン・インク L-THEANINE | ヘルシーワン | 250mg | – | – | カプセル |
⑭ ワカサプリ L-テアニン | 分子生理化学研究所 | 200mg | – | – | カプセル |
⑮ 日本新薬 WINZONE SLEEP&RECOVERY | 日本新薬 | 200mg | ラフマ葉抽出物 | ○ | タブレット |
注意:本リストは特定の製品の購入を強制するものではありません。価格や含有量、成分などの情報は変更される可能性があるため、必ず公式サイトで最新の情報をご確認ください。 |
① DHC ゆったり
健康食品の大手DHCが販売する機能性表示食品です。L-テアニンを1日目安量あたり200mg配合し、「睡眠の質をすこやかに改善(起床時の疲労感を軽減)」する機能が報告されています。サポート成分として、リラックスハーブとして知られるメリッサエキスも配合。DHCならではの品質と、継続しやすいリーズナブルな価格が魅力で、テアニンサプリを初めて試す方におすすめです。
参照:株式会社ディーエイチシー 公式サイト
② ファイン グリシン3000&テアニン200
「グリシン」と「テアニン」という2大休息サポート成分を組み合わせた粉末タイプのサプリメント。1本あたりにL-テアニン200mgに加え、グリシンを3000mg、さらにGABAも100mg配合しています。水などに溶かして飲むタイプで、スッキリとしたレモン風味。睡眠の質に徹底的にこだわりたい方、錠剤を飲むのが苦手な方に適しています。
参照:株式会社ファイン 公式サイト
③ マイプロテイン GABA & L-THEANINE
イギリス発のスポーツ栄養ブランド、マイプロテインの製品。1食あたりL-テアニン200mgとGABAを250mg配合しています。トレーニング後のクールダウンや日々のリラックスタイムをサポート。世界的なブランドでありながら、セール時には非常に高いコストパフォーマンスを発揮するのが特徴です。アスリートやトレーニングを習慣にしている方におすすめです。
参照:マイプロテイン 公式サイト
④ ananaple リラクミン
L-テアニンだけでなく、沖縄の伝統ハーブ「クワンソウ」やGABA、グリシン、カモミールなど、多彩なリラックスサポート成分を配合した複合タイプのサプリメント。複数の成分を一度に摂りたいというニーズに応えます。1日目安量あたりのL-テアニン含有量は100mgと標準よりは少なめですが、他の成分との相乗効果を重視した設計になっています。
参照:リラクミン公式サイト
⑤ UHA味覚糖 UHAグミサプリ 休息モード
お菓子感覚で手軽に続けられるグミタイプのサプリメント。2粒でL-テアニン100mgを摂取できます。リラックスをサポートするカモミールエキスも配合。飲みやすいアップルカモミール味で、水なしでいつでもどこでも摂取できるのが最大のメリットです。サプリメントに抵抗がある方や、楽しみながら続けたい方にぴったりです。
参照:UHA味覚糖 公式サイト
⑥ アサヒグループ食品 ディアナチュラゴールド L-テアニン
サプリメントの人気ブランド「ディアナチュラ」のゴールドシリーズから出ている機能性表示食品。L-テアニンを200mg配合し、「睡眠の質の向上(起床時の疲労感の軽減)」をサポートします。余計な成分を含まないシンプルな配合で、香料・着色料・保存料は無添加。国内のGMP認定工場で製造されており、品質と安全性にこだわりたい方におすすめです。
参照:アサヒグループ食品 公式サイト
⑦ サントリーウエルネス セサミンEX
こちらの「セサミンEX」は、ゴマの稀少成分セサミンとビタミンE、トコトリエノールを組み合わせ、若々しさをサポートすることを目的とした製品です。直接的にテアニンによる睡眠改善やストレス緩和を主目的としたサプリメントではありません。テアニンによる効果を期待する場合は、同社から販売されている「快眠セサミン」(L-テアニン、セサミン類配合)などの製品が選択肢となります。セサミンEXは、生活習慣全体を見直し、エイジングケアに関心がある方に適した製品です。
参照:サントリーウエルネスオンライン 公式サイト
⑧ 大塚製薬 ネイチャーメイド L-テアニン
アメリカで最もポピュラーなサプリメントブランドの一つ「ネイチャーメイド」の機能性表示食品です。1粒にL-テアニンを200mg配合し、睡眠の質の向上をサポート。着色料・香料・保存料は不使用。厳しい品質基準を持つアメリカのブランドであることの信頼感と、比較的手に取りやすい価格が魅力です。
参照:大塚製薬 公式サイト
⑨ 江崎グリコ パワープロダクション エキストラ アミノアシッド テアニン
大手食品メーカー江崎グリコが展開する、アスリート向けサプリメントブランドの製品です。L-テアニン200mgに加え、回復系アミノ酸であるアルギニン、オルニチン、リジンや、体の調子を整えるマグネシウム、亜鉛、ビタミンB6などをバランス良く配合。ハードなトレーニングを行うアスリートの休息と回復を強力にサポートします。
参照:江崎グリコ 公式サイト
⑩ Now Foods L-テアニン
サプリメント大国アメリカの人気ブランド「Now Foods」の製品です。L-テアニン200mgを高配合した製品や、100mgの製品など、含有量のバリエーションがあります。カフェインを含まない緑茶葉から抽出したテアニンを使用。リラックス効果をサポートするイノシトールも配合されています。高品質でありながらコストパフォーマンスに優れており、個人輸入サイトなどで手軽に購入できます。
参照:Now Foods 公式サイト
⑪ キリンホールディングス iMUSE 睡眠&ストレスケア
飲料メーカーのキリンが、長年の免疫研究から発見した「プラズマ乳酸菌」と「L-テアニン」を組み合わせたユニークな機能性表示食品。L-テアニン200mgが睡眠とストレスにアプローチし、プラズマ乳酸菌が免疫機能の維持をサポートします。「睡眠」「ストレス」「免疫」という現代人が抱えがちな3つの悩みに同時にアプローチしたい方におすすめです。
参照:キリンホールディングス 公式サイト
⑫ ファンケル 睡眠&疲労感ケア
無添加化粧品・健康食品で知られるファンケルの機能性表示食品。L-テアニン200mgに加え、起床時の疲労感軽減をサポートするL-オルニチン一塩酸塩と、深い眠りをサポートするクロセチンを配合。睡眠の質と、朝の目覚めの両方に着目したトリプル処方が特徴です。起床時のスッキリ感を特に重視したい方に適しています。
参照:株式会社ファンケル 公式サイト
⑬ ヘルシーワン・インク L-THEANINE
日本初のビタミンショップとして知られる「ヘルシーワン」の製品。管理栄養士などの専門家がカウンセリングを行うなど、品質と信頼性に定評があります。1カプセルあたり250mgと高用量のL-テアニンを配合。原材料や製造工程にこだわった高品質なサプリメントを求める方や、専門家のアドバイスを受けながら製品を選びたい方におすすめです。
参照:ヘルシーワン・インク 公式サイト
⑭ 分子生理化学研究所 ワカサプリ L-テアニン
医療機関向けサプリメントを開発・販売する「ワカサプリ」の製品。医師や薬剤師など、専門家の間でも利用されています。1粒にL-テアニン200mgを配合。植物性のハードカプセルを使用し、賦形剤などの余分な成分を極力排除したシンプルな処方が特徴です。徹底的に品質と純度にこだわりたい方向けの、プロフェッショナル仕様のサプリメントです。
参照:株式会社 分子生理化学研究所 公式サイト
⑮ 日本新薬 WINZONE SLEEP&RECOVERY
製薬会社である日本新薬が、アスリートのために開発したブランド「WINZONE」の製品。L-テアニン200mgと、同じく睡眠の質向上やストレス緩和機能が報告されているラフマ葉由来成分をダブルで配合した機能性表示食品です。アスリートのパフォーマンスを左右する「回復」に特化しており、日々のコンディショニングを重視する方に最適です。
参照:日本新薬ヘルスケア 公式サイト
テアニンサプリの効果的な飲み方とタイミング
せっかくテアニンサプリを摂取するなら、その効果を最大限に引き出したいものです。テアニンは、摂取する目的によって最適なタイミングが異なります。ここでは、「睡眠の質向上」と「日中のストレス緩和・集中力アップ」という2つの目的に分けて、効果的な飲み方とタイミングを解説します。
睡眠の質向上が目的なら就寝前に
睡眠の質を改善し、起床時の爽快感を得ることを目的とする場合、サプリメントを摂取するタイミングは「就寝の30分~1時間前」が最も効果的とされています。
テアニンは摂取後、速やかに消化吸収され、30分から1時間程度で血中濃度がピークに達し、脳に作用し始めると考えられています。そのため、ベッドに入る少し前に摂取しておくことで、ちょうど眠りにつく頃にテアニンのリラックス効果が最大限に発揮され、スムーズな入眠をサポートしてくれるのです。
【飲み方のポイント】
- 水またはぬるま湯で飲む: サプリメントは基本的に水か、体を冷やさないぬるま湯で飲むのがおすすめです。
- カフェインを含む飲み物は避ける: コーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンクなど、カフェインを含む飲み物でサプリを飲むのは避けましょう。カフェインには覚醒作用があるため、テアニンのリラックス効果を妨げてしまう可能性があります。
- リラックスできる環境を整える: サプリを飲むだけでなく、就寝前にスマートフォンやパソコンの画面を見るのをやめたり、部屋の照明を暗くしたり、穏やかな音楽を聴いたりするなど、リラックスできる環境を整えることも大切です。サプリはあくまでサポート役であり、質の高い睡眠を得るための生活習慣と組み合わせることで、より高い効果が期待できます。
- アルコールとの併用は注意:「寝酒」としてアルコールを飲む習慣がある方もいるかもしれませんが、アルコールは眠りを浅くし、中途覚醒を増やすことが知られています。テアニンサプリとアルコールの併用は、互いの作用に影響を与える可能性があるため、基本的には避けるか、かかりつけの医師に相談することが望ましいです。
ストレス緩和や集中力アップが目的なら日中に
日中のパフォーマンス向上、つまり一時的なストレスの緩和や集中力の維持を目的とする場合は、その効果を得たい場面に合わせて日中に摂取するのがおすすめです。
【摂取タイミングの具体例】
- ストレス緩和: 大事な会議やプレゼンテーション、試験など、ストレスがかかることが予想されるイベントの約1時間前に摂取します。事前に摂取しておくことで、本番での過度な緊張やあがり症を和らげ、落ち着いて臨むための手助けとなります。
- 集中力維持: 長時間のデスクワークや勉強など、集中力を持続させたい作業を始める直前、または作業の合間の休憩時間に摂取するのが良いでしょう。これにより、作業中の注意力散漫を防ぎ、効率的にタスクを進めるサポートが期待できます。
【飲み方のポイント】
- 空腹時の摂取: 一般的に、サプリメントは空腹時の方が吸収率が高いとされています。しかし、胃腸が弱い方は、胃への負担を避けるために食後に摂取する方が良い場合もあります。ご自身の体調に合わせて調整してください。
- 眠気との関係: テアニンはリラックスを促しますが、日中の活動に支障をきたすような強い眠気を引き起こすことは稀です。基本的には日中に摂取しても問題ありませんが、体質によっては眠気を感じる可能性もゼロではありません。初めて日中に試す際は、車の運転や危険な機械の操作などを控えられるタイミングで試すと安心です。
- 継続的な摂取: 一時的なストレス対策として都度利用するのも有効ですが、日常的にストレスを感じやすい方は、毎日決まった時間に継続して摂取することで、精神的な安定感を保ちやすくなる可能性があります。
自分のライフスタイルや目的に合わせて摂取タイミングを工夫し、テアニンの恩恵を最大限に活用しましょう。
テアニンの副作用や摂取する際の注意点
テアニンは緑茶などに含まれる天然のアミノ酸であり、適切に摂取する限り、非常に安全性の高い成分として知られています。しかし、どのような食品や成分であっても、摂取する際にはいくつかの注意点があります。安心してテアニンサプリを活用するために、副作用の可能性や注意すべき点について正しく理解しておきましょう。
重大な副作用の報告は基本的にない
まず最も重要な点として、現在のところ、テアニンの摂取による重篤な副作用は報告されていません。お茶として長い食経験があることからも、その安全性は高いと考えられています。
ただし、体質や摂取量によっては、以下のような軽微な症状が現れる可能性はゼロではありません。
- 眠気: 特に日中に摂取した場合や、テアニンに対する感受性が高い方の場合、リラックス効果が強く出て眠気を感じることがあります。
- 頭痛: 稀に、頭痛を感じる方がいると報告されています。
- 胃腸の不快感: 空腹時に多めに摂取した場合など、胃の不快感や軽い吐き気を覚える可能性があります。
これらの症状は、摂取量を減らしたり、摂取を中止したりすることでおさまることがほとんどです。もし、テアニンサプリを飲み始めてから体調に異変を感じた場合は、すぐに使用を中止し、必要であれば医師や薬剤師に相談してください。
1日の摂取目安量を守る
安全性が高い成分であるとはいえ、過剰摂取は避けるべきです。サプリメントを利用する際は、必ず製品のパッケージに記載されている「1日の摂取目安量」を厳守してください。
多くの研究や機能性表示食品の届出で用いられているテアニンの量は、1日あたり200mgです。この範囲内であれば、安全に機能性が期待できると考えられます。「たくさん飲めば、もっと効果が出るはず」と自己判断で量を増やすのは絶対にやめましょう。過剰に摂取しても効果が高まるという保証はなく、むしろ予期せぬ体調不良を引き起こすリスクを高めるだけです。
FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)では、テアニンの安全性は評価されていますが、明確な一日摂取許容量(ADI)は設定されていません。これは危険であるという意味ではなく、通常の食事やサプリメントからの摂取レベルでは安全性に懸念がないと考えられているためです。しかし、これは無制限に摂取して良いという意味ではないことを理解し、常に製品の推奨量を守ることが賢明です。
医薬品との飲み合わせに注意する
テアニンは特定の医薬品と相互作用を起こし、薬の効果を強めたり、弱めたりする可能性があります。現在、何らかの病気の治療で医薬品を服用している方は、テアニンサプリを摂取する前に、必ずかかりつけの医師または薬剤師に相談してください。自己判断での併用は非常に危険です。
特に注意が必要なのは、以下のような医薬品です。
- 降圧剤(血圧を下げる薬): テアニンには、リラックス効果に伴い、穏やかに血圧を下げる作用が報告されています。そのため、降圧剤と併用すると、血圧が下がりすぎてしまい、めまいやふらつきなどの低血圧症状を引き起こす可能性があります。
- 向精神薬(睡眠薬、抗不安薬、抗うつ薬など): テアニンは脳内の神経伝達物質に作用します。睡眠薬や抗不安薬など、同じく中枢神経系に作用する薬と併用すると、薬の作用を予期せぬ形で増強したり、変化させたりする恐れがあります。過度な眠気や鎮静作用が現れるリスクがあるため、併用は慎重に判断する必要があります。
- 興奮剤: カフェインなどの興奮作用を持つ薬やサプリメントと併用した場合、テアニンがその興奮作用を打ち消し、薬の効果を弱めてしまう可能性があります。
上記以外にも、相互作用を起こす可能性のある薬は存在します。「お茶の成分だから大丈夫だろう」と安易に考えず、医薬品を服用中の方は、必ず専門家の意見を仰ぐことを徹底してください。安全にサプリメントを活用するための、最も重要なルールです。
テアニンを多く含む食品
テアニンはサプリメントだけでなく、私たちの身近な食品、特にお茶から日常的に摂取することが可能です。サプリメントに頼るだけでなく、日々の食生活にテアニンが豊富な食品を取り入れることで、より自然な形でその恩恵を受けることができます。ここでは、テアニンを特に多く含む代表的なお茶の種類とその特徴を紹介します。
緑茶
日本人にとって最も馴染み深い緑茶は、テアニンの優れた供給源です。緑茶の中でも、栽培方法や製造工程によってテアニンの含有量は大きく異なります。
- 煎茶(せんちゃ): 日本で最も一般的に飲まれている緑茶です。日光を浴びて育つため、テアニンの一部が渋み成分であるカテキンに変化します。それでも、一般的な煎茶には十分な量のテアニンが含まれています。特に、一番茶(その年の最初に摘まれる新芽)から作られる上級な煎茶ほど、テアニンの含有量が多い傾向にあります。
- かぶせ茶: 収穫前の一定期間、茶樹に覆いをかぶせて日光を遮って栽培されるお茶です。これにより、テアニンからカテキンへの変化が抑制され、煎茶よりも多くのうま味成分(テアニン)が茶葉に残ります。味わいは煎茶と玉露の中間的な特徴を持ちます。
緑茶から効率よくテアニンを抽出するポイントは、「低温でじっくり淹れる」ことです。テアニンは低温のお湯でも溶け出しやすい性質があるのに対し、カテキンやカフェインは高温で溶け出しやすくなります。そのため、60~70℃程度のぬるめのお湯で時間をかけて淹れると、渋みが抑えられ、テアニンのうま味が際立ったまろやかな味わいのお茶になります。
抹茶
抹茶は、玉露と同じように日光を遮って栽培された茶葉(碾茶:てんちゃ)を、石臼などで挽いて粉末状にしたものです。お湯に溶かして茶葉を丸ごと飲むため、茶葉に含まれるテアニンを余すところなく摂取できるのが最大の特徴です。
水に溶け出しにくい他の栄養成分(食物繊維やビタミンEなど)も同時に摂取できるというメリットもあります。抹茶ラテや抹茶スイーツなど、さまざまな形で楽しめるのも魅力ですが、砂糖の摂りすぎには注意が必要です。リラックスしたい時の一杯として、丁寧に点てた抹茶を味わうのは、非常に贅沢な時間となるでしょう。
玉露
玉露は、お茶の中でもテアニンの含有量が突出して多い「お茶の王様」ともいえる存在です。収穫前の約20日間以上、茶園全体を覆い(被覆栽培)、日光を90%以上も遮って育てられます。
この特殊な栽培方法により、うま味成分であるテアニンが渋み成分のカテキンに変化するのが極限まで抑えられ、茶葉にたっぷりと蓄積されます。その結果、まるで出汁のような濃厚なうま味と、独特の「覆い香(おおいか)」と呼ばれる香りが生まれます。
玉露を淹れる際は、40~60℃という非常に低い温度のお湯で、2分以上かけてじっくりと抽出します。こうすることで、テアニンの豊かなうま味を最大限に引き出すことができます。特別なリラックスタイムを過ごしたい時や、大切な来客をもてなす際に最適な、最高級のお茶です。
飲み物の種類(約100mlあたり) | L-テアニン含有量の目安 |
---|---|
玉露 | 約1,600mg~2,000mg |
抹茶(薄茶) | 約300mg~400mg |
煎茶(上級) | 約200mg~300mg |
ほうじ茶・玄米茶 | 約20mg |
紅茶 | 約10mg~20mg |
コーヒー | 含まれない |
数値は茶葉の品質や淹れ方によって大きく変動するため、あくまで一般的な目安です。 |
このように、お茶の種類によってテアニンの含有量は大きく異なります。日々の生活にこれらのお茶を取り入れることで、心安らぐひとときを楽しみながら、テアニンを補給してみてはいかがでしょうか。
テアニンサプリに関するよくある質問
ここでは、テアニンサプリを検討している方からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。疑問や不安を解消し、安心してサプリメント選びや利用ができるよう、ぜひ参考にしてください。
テアニンとL-テアニンの違いは何ですか?
結論から言うと、サプリメントや食品の文脈で使われる「テアニン」と「L-テアニン」は、基本的に同じものと考えて問題ありません。
「L-」という記号は、アミノ酸の化学構造における立体的な形(光学異性体)を表すものです。自然界に存在するアミノ酸のほとんどは「L体」と呼ばれる構造をしています。お茶に含まれるテアニンも、そのほとんどがL体であるため、成分を正確に表記する際に「L-テアニン」と記載されます。
人工的に合成されたものの中には「D-テアニン」も存在しますが、私たちの体に良い働きをするとされているのは主にL-テアニンです。そのため、市販されているサプリメントの有効成分は、ほぼすべてがL-テアニンです。パッケージに単に「テアニン」と書かれていても、有効成分としてはL-テアニンが含まれていると理解して良いでしょう。
テアニンサプリに依存性はありますか?
テアニンは医薬品ではなく、お茶に含まれる食品成分です。現在のところ、睡眠薬などの医薬品に見られるような、身体的な依存性や離脱症状(やめると不調が出る)、耐性(だんだん効かなくなる)が形成されるという報告は基本的にありません。
お茶を毎日飲んでも依存症にならないのと同じように、適切な量を摂取している限り、テアニンサプリが原因で身体的な依存に陥る心配は極めて低いと言えます。
ただし、どのようなサプリメントにも言えることですが、「これを飲まなければ眠れない」「これを飲まないと落ち着かない」といった精神的な依存(心理的依存)が生じる可能性はゼロではありません。サプリメントはあくまで健康的な生活をサポートするための補助的なツールです。テアニンサプリに頼り切るのではなく、バランスの取れた食事や適度な運動、ストレス管理など、生活習慣全体の改善を心がけることが最も重要です。
どのくらいの期間で効果を実感できますか?
テアニンの効果の感じ方や、実感できるまでの期間には大きな個人差があります。体質、その日の体調、ストレスの度合い、生活習慣など、さまざまな要因が影響するため、一概に「何日で効く」とは言えません。
一般的には、以下のように目的によって実感のタイミングが異なると考えられています。
- 一時的な効果(ストレス緩和、集中力): 摂取してから30分~1時間程度で、気持ちが落ち着いたり、頭がスッキリしたりといった感覚を得られる場合があります。これは、テアニンが比較的速やかに脳に作用するためです。
- 継続的な効果(睡眠の質向上): 睡眠の質の改善については、1回の摂取で劇的な変化を感じる人もいれば、数日間続けてみて初めて「そういえば、朝の目覚めが良くなったかも」と感じる人もいます。一般的には、数週間から1ヶ月程度、継続して摂取することで、体が良いサイクルを覚え、安定した効果を実感しやすくなると言われています。
まずは焦らず、少なくとも1ヶ月は毎日同じタイミングで摂取を続けてみることをおすすめします。それでも全く変化を感じられない場合は、製品の含有量や種類が合っていないか、あるいは悩みの原因が他にある可能性も考えられます。
妊娠中や授乳中に摂取しても問題ありませんか?
妊娠中・授乳中のテアニンサプリメントの摂取は、基本的には推奨されません。
テアニン自体はお茶に含まれる安全性の高い成分ですが、サプリメントとして濃縮された形で摂取した場合の、胎児や乳児への影響については、まだ十分な科学的データが確立されていません。そのため、ほとんどのサプリメント製品のパッケージには、「妊娠・授乳中の方、お子様は、本品の摂取を避けてください。」といった注意書きが記載されています。
安全性が確認されていない以上、「念のため避ける」というのが最も賢明な判断です。どうしても摂取したい場合は、自己判断は絶対にせず、必ずかかりつけの産婦人科医や小児科医に相談し、専門家の指示に従ってください。
まとめ
この記事では、現代人の悩みに寄り添う成分として注目される「テアニン」について、その効果からサプリメントの選び方、おすすめ製品、効果的な飲み方、注意点まで、幅広く掘り下げて解説しました。
最後に、本記事の重要なポイントを振り返りましょう。
- テアニンとは: 緑茶、特に玉露などに含まれるアミノ酸の一種。お茶の「うま味」成分であり、脳に直接作用してリラックス効果をもたらします。
- 期待できる3つの主な効果: 機能性表示食品として、①睡眠の質の向上(起床時の疲労感軽減)、②一過性のストレス緩和、③注意力の維持といった機能が報告されています。
- 失敗しない選び方5つのポイント: サプリを選ぶ際は、①テアニン含有量(200mgが目安)、②目的別のサポート成分、③科学的根拠の指標となる「機能性表示食品」か、④続けやすい形状と価格、⑤品質の証である「GMP認定工場製造」か、という5つの視点から総合的に判断することが重要です。
- 効果的な飲み方: 目的によってタイミングを変えるのが鍵です。睡眠の質向上が目的なら就寝の30分~1時間前に、ストレス緩和や集中力アップが目的なら日中の必要なタイミングで摂取しましょう。
- 安全性と注意点: テアニンは安全性の高い成分ですが、1日の摂取目安量を守り、医薬品(特に降圧剤や向精神薬)を服用中の方は必ず医師に相談することが不可欠です。
テアニンサプリは、ストレス社会を生きる私たちにとって、心と体のバランスを整えるための心強い味方となり得ます。しかし、最も大切なのは、サプリメントはあくまで健康的なライフスタイルを補助するツールであるという認識を持つことです。
バランスの取れた食事、適度な運動、規則正しい生活リズムといった日々の基本的な生活習慣を整えること。これこそが、健やかな心身を維持するための土台となります。その上で、テアニンサプリを上手に活用することで、その効果を最大限に引き出すことができるでしょう。
本記事で紹介した情報を参考に、ご自身のライフスタイルや悩みに最も合ったテアニンサプリを見つけ、穏やかで活力に満ちた毎日を送るための一助としてください。